TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #83
#83 INDEX
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HELLO
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新入荷&今週の1冊
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TOUTEN ベスト (2025.5.12-2025.5.25)
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イベント情報
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AFTER TALK
🌿HELLO
なんだかまた肌寒くなりましたね。ウキウキでTシャツ着つつもちょっと寒い、でも上着を羽織るまでもない微妙な肌感覚でレジにいます。今日はちょっと鳥肌立ちつつ、元気にスケラッコさんのスプリングロールTシャツ。展示中のグッズのTシャツも着たい。
2階の展示室では寺田燿児さんの短編集『DRAMATIC』の原画展がスタートしました。土・月で寺田さんに在廊いただきました。寺田さんの似顔絵ならぬ似飯絵、背中絵も見せてもらえて嬉しかったです。まさかの漫画原画も販売しています。すごい。
独裁者の背中シリーズはずらっと静かな迫力があります。この空気感を作る絵に、並べてみて改めて驚きました。背中だけだけど、だれなのかがわかる説得力。(わからなかった人はお気軽にお尋ねくださいね。)自分の背中は自分の身体であるにもかかわらず、自ら直視することができない。シリーズに掲げられたステートメントを反芻する。『DRAMATIC』は単体でも大変に面白い漫画集なのですが、未読の方は、『TORA TORA TORA TORA』→『DRAMATIC』の順で読んでもらえると、さらにいいなと思います。また、寺田さんは折坂悠太(合奏)メンバーだったこともあり、『ユリイカ』の折坂悠太特集に漫画を寄せられているんですが、それもすごく良くて……。空想がかわいすぎる。その上画力が高すぎる。展示会場に閲覧用書籍が置いてあるので読んでみてください。椰子の総合誌『シュロ3』の寄稿では「文章も面白いのか、この人は!」とぶっ飛びました。ぜんぶ、ぜんぶ読んでほしいです。寺田さんのユーモアはどこから湧いてくるんだろう。現実と空想を行き来しながら、大きなものに抗いながらも自分のペースを保ち、人間の愛らしい部分を掬い上げたようなユーモアが同居する。寺田作品、ぜひ。(「NO WAR」が散りばめられているのも良い。)
(今回のグッズに超かわいい猫(と寺田さん)のステッカーがあるんですが、「どうやって作ったんですか?」と聞かれていたのに「大きいんですよ、うちの猫。3mくらい。」と答えているのを見て、かわいいうそをつく人だな、と微笑ましく思いつつ、寺田漫画の魅力にも繋がっていると感じました。)

200円で販売しております。
📚新入荷&今週の1冊
・おこさま人生相談室(小林エリカ/柏書房)
「なに?もっとこどもみたいにいうと思った?」自分をかわいいと思えない。父を老人ホームに入れたい。地球温暖化への無関心が気になる――。おとなたちの本気の悩みに、おこさまたち102人が本気で向き合う「いつもと逆」の人生相談。
・遺骨と祈り(安田菜津紀/産業編集センター)
福島、沖縄、パレスチナを訪れ、不条理を強いられ生きる人々の姿を追った、著者の6年間の行動と思考の記録。遺骨収集に取り組む2人の男性の言動を通して、歪んだ現代日本の社会構造を浮き彫りにするとともに、「未来の人の明日をつくる」ためには何が必要なのかを提示する。
・ぼくのデフブラらいふ(門川紳一郎、金井真紀=絵/ころから)
全盲で全ろう=デフブラ(Deaf Blind)のカドカワさん。米国のデフブラと出会ったことで留学を志し、帰国後は当事者が当事者を支援するNPOを立ち上げる。そして、フルマラソンを目指したもののオーバー・トレーニングで靱帯断裂――そんな「デフブラらいふ」を軽妙に描く。金井真紀さんによる「デフブラ見聞録」も収録。
・そもそも交換日記(桜林直子、土門蘭/葉々社)
東京と京都。雑談と文筆。離れた場所で「言葉」を軸に働き暮らすサクちゃん(桜林直子)と蘭ちゃん(土門蘭)、1年間の交換日記。「そもそも」から生まれる疑問に対して、ふたりはその問いを深く見つめる。そして、見つめ続けた先にある答えがどうであれ、ふたりはそれを自分の言葉にして表現する。ZINEとして長らく品切れだったところ、葉々社から商業出版で発売。待ってたぜ!
\📚今週の1冊📚/
韓国で行政学で博士号を取得し、女性や子どものための政策立案に関わる研究者であるチェ・ソンウンさんが韓国において、過酷な受験競争、就職試験を経てもなお女性が働き続けることが困難な状況がなぜ続いているのかを労働市場の歴史を踏まえながら確かめていく1冊。惣田紗希さんの表紙が目を惹きます。
スウェーデンやアメリカの労働福祉政策との比較から韓国社会で何が必要なのか、丁寧に語られています。データを読み解きながらも、チェ・ソンウンさん自身のエピソードが挟まれていて、論文とエッセイの間を行き来する、読みやすく作られた本です。
本チャンネルで本書の邦訳に奔走した訳者・小山内園子さんにインタビューしましたが、その時おっしゃられた「クールな頭とホットなハートで書かれている人文書」という言葉が的確で印象に残っています。ぜひこちらもご覧ください。
📚TOUTEN BEST ( 2025.5.12-2025.5.25 )
・DRAMATIC 寺田燿児短篇漫画集(寺田燿児/猋社)
14篇の短篇漫画と、ブックギャラリーポポタムでのグループ展で展示された作品「十八番」、「独裁者の背中シリーズ」を収録した漫画集。反戦漫画『TORA TORA TORA TORA』(東南西北kiken刊)を経て、日常の微細な火花を描いた著者が唱える“劇的なるものからとおくはなれて。”
日常にある(かもしれない)、他の誰も気づいていないと感じてしまうような「わたし」もしくは「あなたとわたし」だけの出来事。その試みは、大きなスローガンから自分の声を取り戻す作業のようにも思える。正気を保って生きていけるように。たっぷりのユーモアと、そばにある想像力、愛が散りばめられた1冊。どの作品もとても好き。「御茶ノ水駅」「通夜」「花火」がとくに好き。
・教科書採択2024 ある名古屋市民の忘備録(ジェンダー読書会なごや)名古屋市民のジェンダー読書会なごやさんが、市の教科書採択に不安を感じ、中学校用教科書採択に関わることになった2024年4月〜8月についての出来事を記録した貴重なZINE。原則4年に1度ある、教科書採択。どのように教科書が決定されていくのかを知り、またどのように市民が関わっていくのかを考えるためにぜひ多くの市民に読んでほしい1冊。
・となりのとらんす少女ちゃん(とら少 / 在野社)
"これは、いつかきっとすれ違った、わたしたちのとなりに生きる「とらんすちゃん」の物語。"トランスジェンダー当事者が確かに刻む、現代の「トランスガール」の肖像。"いまだ知られていない独自の活動や研究、表現に光を当て、書籍というかたちで残すこころみを始め"た、新しい出版社・在野社のはじめての書籍。
・私の孤独な日曜日(月と文社)
休日のひとり時間、あなたは何をして過ごしますか?――世代やバックグラウンドの異なる17人による、ひとりで過ごす休日についてのエッセイ・アンソロジー。誰かの「映えない」休日の裏にあるさまざまな孤独に触れることで、あなた自身の平凡な休日も、不思議と味わい深く感じられるかもしれません。
・湖まで(大崎清夏 / palmbooks)
歩いていった先に大きな水の塊があることは安心だった。海でも川でも湖でも。いまを生き、いまを描く詩人による詩と散文のさきに見出された光り溢れる初めての書き下ろし連作小説集。ひとと出会い、土地に触れ、わたしはわたしになっていく。みずからの世界の扉をひらく全5篇。サイン本。
👀展示&イベント情報
【展示】【25.5.24-6.7】寺田燿児短編作品集原画展「DRAMATIC」
ひとり出版社・猋社(つむじかぜしゃ)から刊行された寺田燿児作品集『DRAMATIC』の原画展を開催します。『DRAMATIC』内「独裁者の背中」シリーズを中心に展示。寺田さん、初・名古屋!
【展示】【25.6.21-7.12】絵と短歌展〈巡回展〉「100年後」の7年後 絵・寺田マユミ 短歌・土門蘭
2017年10月、京都文鳥社から出版された歌画集『100年後あなたもわたしもいない日に』。土門蘭の短歌と寺田マユミの絵により切り取られた日常が一冊の本となってから、丸7年が経ちました。書店や読者の方との直取引のみで販売してきた本書は版を重ね、実売数は1万部に。多くの方に愛される作品となりました。『「100年後」の7年後』は、それを記念した新作20点の巡回展です。7年という時を経た今、二人が切り取る日常はどう変化しているのか、ご覧いただけたら幸いです。
イベント
【25.6.3】クレオパトラブックス
クレオさんが用意しているカルテに記入いただき、そのカルテを元にあなただけのおすすめ本を当店の棚から選書する対面選書イベント。(オンラインでの選書も可能です。)選書を体験いただいた方のみのオプションになるタロット占いもあります。現時点で残り2枠!
【25.6.14】「さいきまこさんと性暴力について考える」
(主催:むちむち)学校内の性暴力を描いた作品『言えないことをしたのは誰?』(現代書館)の著者・さいきまこさんのトークイベントを開催。"当日は、訪れる誰もが安心して過ごせる場所、語れる場所でありたいと思っています。これまで関心はあれどなかなか話す場所や相手がいなかった、という方にもご参加いただけたら嬉しいです。"『言えないことをしたのは誰?』は学校の性暴力をテーマに、小さな違和感から丁寧に描き、なぜ起き続けてしまうのか、どうすれば防ぐことができるのかというところまで切り込んだすごい作品でした。子どもと関わる大人たちにはどうかどうか読んでほしい。
【25.6.28】大原扁理×石井あらた トークイベント「隠居と山奥ニート、これからどうする?」
10年以上、メインストリームから外れたオルタナティブな生活を実践してきた大原扁理さんと石井あらたさん。結婚・子育て・親の介護などのライフステージによって、その生活は少しずつ変化してきています。そして隠居や山奥二ートでなくても、こうした変化に直面し、これまでの生き方を手放さなくてはならないときがあります。ふたりは変わっていくことをどのように受け止めているのでしょうか。この10年の心境の変化や、社会の変化、そしてこれからのことなど、自由にお話いただきます!
☕️AFTER TALK
先日、「ジモコロ」で散歩コースを提案しました。ぜひ見てみてください👀
こうして近くに素敵なお店や場所があるから、心の支えになりこの街で生活を続けていられているような気がします。
本日はこのあたりで!
それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。
#NOW READING 『イメージ、それでもなお』(ジョルジュ・ディディ・ユベルマン 橋本一径=訳 / 平凡社)
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