TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #95
#95 INDEX
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HELLO
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新入荷&今週の1冊
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TOUTEN ベスト (2025.11.10-2025.11.23)
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イベント情報
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AFTER TALK
🍠HELLO
こんにちは!
店頭やこの場所で何度も反対の署名のお願いをしていた「Aichi-Israelマッチングプログラム」が年内に終了することが決まりました。虐殺に反対する行動を、一つ一つ。詳細についてはこの件をずっと取材されていた関口さんの記事を貼ります。
記事のリンクには金城さんのコメントも載っています。
「県は市民が求めるような『国際法違反を繰り返すイスラエルとは連携しない』というメッセージを発信するには至っていない。今後も県の産業振興政策の中では海外の国家機関や企業との連携は不可避と思われるが、人権を保護する責任を放棄し続けるイスラエルとの連携は、県と県内企業にとって大きなリスクとなることを教訓とすべきだ」と指摘する。
事業費は4年間で計約2億円。事業を発展させるために投じられた税金は、人権の視点がまるで抜けています。愛知県知事定例記者会見も見ましたが、大村知事は「双方のビジネスマッチングを促進するという当初の目的が達成された」ことが理由であると強調していました。署名やデモ、議員や企業に届けられるなどして上がっていた声、きっとそのほか(企業内で懸念を示した人や、問題視して追っていたメディアもいただろう(そう願いたい))でも上がっていた声については触れていなかったことを記憶しておきたいです。
📚新入荷&今週の1冊
私の愛するロシア(エレーナ・コスチュチェンコ 高柳聡子=訳 / エトセトラブックス)
プーチン政権批判の最先鋒「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙に17年間つとめたジャーナリストによる、渾身のルポルタージュ。戦争にひた走るロシアにおいて、モスクワから遠く離れた地方の自動車道で〈身を売る〉女性たち、廃墟で暮らす未成年の子どもたち、国営の障害者施設、忘れられた公害、隠蔽された学校占拠事件、迫害される少数民族、性的少数者……政権下において周縁に追われ隠されてきた人びとの声を伝える記事と、真実を語る記者としてそしてLGBT活動家として戦ってきた自らの半生を交互に綴る。
おてあげ vol.6(困ってる人文編集者の会)
第6号の特集は「もたもた」。仕事が遅いことについての悩み――もたもたについての座談会、寄稿エッセイコーナー「わたしのおてあげ」では、ビジネス書や語学系、記者との兼任など多様な編集者からのエッセイが集まりました。辞書編集者による困りごとを語りつくす座談会も収録しています。書店バイヤー・飯田正人さんの連載も5回目、今回のテーマは「仕入れ」です。他に、麻田、柴山、竹田の日記のほか、文学フリマ福岡当日の日記も収録しています。
上野さん、主婦の私の当事者研究につきあってください(上野千鶴子、森田さち / 晶文社)
日常の葛藤を、フェミニズムの視点で「当事者研究」してみたら、まったく違う風景が見えてきた。社会学者でフェミニスト・上野千鶴子と、三人の子を育てる普通の主婦・森田さち。主婦が自らの人生を振り返り「なぜ私はいつも生きづらかったのか?」と問い、社会学者がそれに応答する。二人が真正面からぶつかる、前代未聞の対話。
どうするかはあとで考えよう(かもめと街 チヒロ)
『午後のコーヒー、夕暮れの町中華』ではじめての商業出版を終え、もぬけの殻となったかもめと街・チヒロさんが広げた理想を手放し、“今”を生きることに目を向け、徐々に生活を取り戻す3か月の日記。おざわさよこさんの表紙が素敵。書き下ろしエッセイ&巻末にブックリスト付き。サイン入りで入荷しました。
\📚今週の1冊📚/
『わたしたちの停留所と、書き写す夜』
書影
単行本初邦訳のキム・イソル作品。スランプの時期を抜け再起したキム・イソル氏のこの小説自体が、同じく人生の「停留所」に佇む人へ向けられている。
詩人になる夢があり、一日の終わりに好きな詩を筆写することだけが自分を取り戻す時間であった40代の「わたし」は、老いた父母やDVを受けて実家に戻ってきた妹親子のケア労働に果てなく追われることになる。
ケア労働に追われ、十分に眠ることもできず、次の「バス」に乗れないまま「停留所」に居続ける不安。ひとりに負わせるにはあまりにも厳しい重たさがある。自分を取り戻す時間が深刻なまでに重要であるということを痛々しいほど感じながら、帯に「人生小説」と書かれた意味を理解していく。小説の中で引用される詩の数々に、ああ、「わたし」にとって、詩は生活なのだ、世界そのものであり、瞬間そのものなのだ、と思わされる。(大好きな映画「パターソン」も、だ。)どうしたって溢れ出る「わたし」の詩的な表現にも目を奪われる。
胸が詰まりながら、一気に読んだ小説。ケア労働の苦しさが重々しく描写されているけれど、振り返ると、生きることそのものが書いてあったと感じる。キム・イソル作品をもっともっと読みたいと感じる。小山内さんがまた、この社会に必要な本を紹介してくれたのだと感じます。
📚TOUTEN BEST ( 2025.11.10-2025.11.2 )
クーグート スケジュールノート 2026
今年も大人気のスケジュールノート!ミシン目で切り取れるのが好きです。すっきりとしたシンプルなデザインが特徴のスケジュールノートは、「使う人が 思い思いのデザインにカスタマイズしてもらえれば」と、表紙を白地にしています。 お好みの写真やシールをコラージュしたり絵を描いたり、好きなデザインの紙でく るむのもいいかと思います。ご自分で自由にデザインしてください。
まだまだ大人になれません(ひらりさ / 大和書房)
30代兼業文筆家、ただいま「大人」の練習中。法律的にはとっくに成人しているし真面目に働いて納税だってしていても、なぜか自分のことを未熟だな……と思ってしまう。もういい歳なのに、私ってこのままでいいのか。低空飛行でもいいじゃない。うまくいかなくてもいいじゃない。ままならぬ日々を息継ぎしながら生きのびるための、メンタルリカバリーエッセイ!
まちは言葉でできている(西本千尋 / 柏書房)
「再開発の言葉」から、「足もとの言葉」へ。「まちづくり」現場の20年を悶えながら記録した抵抗の随筆集。みんなで考える「まちづくり」。それにはひとつひとつ、言葉と向き合い、伝え合う必要があって、そもそも「みんな」とは、誰のことを指すのか、と考える。絶望したり、希望を持ったり、悶えながら書かれているまっすぐな言葉の数々。こういう「まちづくり」の本を待っていました。
ICHIKO AOBA 15th Anniversary Book(青葉市子 橋本倫史=インタビュー / 阿檀書房)
活動15周年を記念し、2025年1月に京都と東京で開催されたコンサートの密着ドキュメント。舞台裏や各公演のレポート、公演直後のインタビューまでを取材した記念本です。写真は野田祐一郎さん、インタビューは橋本倫史さんです。
👀展示&イベント情報
告知画像。ガラスペンでえがかれた猫・テテさんのイラストと、マプラン肉球フィナンシエの写真が並んでいます。
アーカイブ配信中!!!【25.10.25】『クィアのカナダ旅行記』刊行記念イベント「どうつくる? クィアな本/空間」
2023年と24年、二度のカナダ滞在をもとに、バックラッシュが強まる日本の政治的状況を踏まえながら記録した『クィアのカナダ旅行記』。25年夏に再びカナダを訪れたという水上さん、本書を編集した天野さんに「クィアな本をつくること」について伺いつつ、セーファーな空間づくりを考える本屋の目線から、「クィアな棚/空間をつくること」について日々思っていることお話しました。ここでしか聞けない「クィアな本/空間」をめぐるトーク、アーカイブ配信中です!
【25.11.29】アカシェ15周年記念ライブ
あき、さえ、女性二人の音楽ユニット・アカシェ(akasie)による「アカシェ15周年記念ライブ」。真夜中のおもちゃ箱から飛び出したような、かわいくてやさしいオリジナル曲などをいろいろな楽器で演奏します。使用予定楽器はエレガットギター、ウクレレ、アコーディオン、鉄琴、アンデス、カンテレ他。完全予約制。予約はメールにて。akimirakuru+akasie@gmail.com(akasieの前はプラスです)
【25.11.29】『ソウル・サーチン』刊行記念トークイベント「「沖縄」について描き続ける新里堅進について書くこと」(企画協力:南部さん)
戦後80年。「沖縄で、沖縄を描く」ことに人生を捧げてきた沖縄の伝説的漫画家・新里堅進さんの人生とその作品を通じて問い直す特別企画として刊行された『ソウル・サーチン』。新里さんの貴重な作品群の間に、ノンフィクション作家・藤井誠二さんによって取材され書き上げられた新里さんの評伝が収録されています。この圧倒的な作品がより多くの人の手に渡ってほしい、と思い企画しました。すでに読んだ方も、未読の方も、ぜひご参加ください!
【25.12.4】 小山内園子×吉川トリコ「どうしてわたしたちはこんなにもK-BOOKが好きなのか!」
韓国本を楽しむフェア「K-BOOK FAIR」の連動企画!『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』著者で翻訳家の小山内園子さん、名古屋が誇る小説家の吉川トリコさんが韓国の本の魅力を語り尽くします!お二人が思うそれぞれの韓国本の魅力、おすすめしたい本など、じっくり語り合っていただく時間になります。トーク後にはプチサイン会も。ぜひ、お越しください!
【25.12.6】『彼女は裸で踊ってる』第2巻刊行記念イベント 岡藤真依トークイベント〜ストリップ、踊り子、フェミニズム〜(主催:ばんの)
『彼女は裸で踊ってる』第2巻刊行を記念して、トークイベントを開催します。作者の岡藤真依さんと、ストリッパーの黒井ひとみさんをお招きして、ストリップという表現の世界を舞台に、自身の“体”を取り戻す姿を描く本作について語ります。ゲスト・黒井ひとみさんによるプチダンスショーあり。※定員に達したため受付を終了しました。
【25.12.6】直面する学習会2025「軍国主義に抵抗した女性たち」(主催:ジェンダー読書会なごやさん主催)
ジェンダー読書会なごやさん主催のイベント「直面する学習会」。昨年は中国・万人坑(=人捨て場)を訪ね歩き続けた青木茂さんより、日本の戦争加害の歴史について学びました。今年は反戦NPO団体「ワールド・ビヨンド・ウォー」(WBW)の日本支部長Joseph Essertierさんを講師に、軍国主義に抵抗してきたフェミニストたちの話を聞けるそうです。暗澹たる気持ちの中、縋る思いで参加するイベント……!詳細はリンクよりご確認ください!
【25.12.11】クレオパトラブックス大感謝祭2025 ゲスト:歌人・小坂井大輔
今年もクレオパトラブックス大感謝祭を開催します!今年は歌人・小坂井大輔さんをゲストとしてお呼びしてのトークイベントになります!1日に3冊本を読むこともあるクレオさんが、お客さんの話を聞いて(カルテを書いてもらい)店頭から本を選書するクレオパトラブックス。今年、クレオさんがかなり推されていた本が小坂井大輔さんが出版した『KOZAKAIZM』でした。小坂井大輔さんは歌人であり、名古屋駅西の中華料理店「平和園」店主。(実は、当店の御書印も、小坂井さんに詠んでいただいた短歌です。)もうそれならば小坂井さんをお呼びすべきだ!と思い、今回イベントが実現しました。ぜひお越しください!
【25.12.13】『うどんねこ まほうのことば、ミソニコミ!』発売記念スケラッコさんサイン会
どどんと!うどん!ねこシリーズ、今回は味噌煮こみうどんがテーマということで、スケラッコさんのサイン会を開催します!前回は『みゃーこ湯のトタンくん』のタイミングでしたので、2022年以来!とっても愉快でハッピーな気持ちで読むことができるシリーズです。全世代におすすめ。ZINEやグッズももりもり入荷します。ぜひお越しください〜!
【25.12.16】「あなたも、わたしも、あの人も!みんなで生き残る会議」
本屋lighthouse関口さん、クレオパトラブックス・クレオさんと集まって、「みんなで生き残る会議」を開催します!なんか生きづらいなあと思うこと、こんなこと吐き出していいのかなあと思うこと、持ち寄ってどうしたら「みんな」がハッピーな方向へ向かえるんだ!ということをワイワイ悶々おしゃべりするお話会です。政治に疲れた感じ、生活に不安な感じ、エトセトラエトセトラ、みんなでシェアして少しでも希望を持って帰ることができればと思います。ぜひご参加ください💪
【26.1.12】シンガーソングライター・マーライオン名古屋・弾き語りワンマンライブ
都内を中心にライブ演奏、音楽制作、文筆業、俳優業、ポッドキャストなど、ジャンルの垣根を越えながら活動中のシンガーソングライター・マーライオンさんによる弾き語りワンマンライブ。
チケットページはこちら。https://tiget.net/events/440452
☕️AFTER TALK
先日の定休日、朝起きて「お、千葉、行けるのでは」と思い立ち、在来線で行ってきました。節約になるし、じっくり本を読む時間ができて(2.5冊読めました)すごくよかったですが、移動しっぱなしなので体力は消耗します。おすすめできるかといったら微妙なライン。窓口での精算が必要だったのですが駅員さんもちょっと引いてた。
本屋lighthouse、よ〜〜〜〜〜〜うやくいけました!本屋lighthouseの関口さんには12月16日に当店にてトーク登壇いただくのですが、2度目のご登壇だったので、イベント前に伺えてよかったです。千葉に向かう道中で熱海に寄りたくなるかも・・・とか考えていたので事前連絡せず行きました。隣の隣くらいにカフェがあったことを思い出し、想像以上にクールな店内のHAMANO COFFEE STANDで糖分とカフェインを摂取し、店内にいた犬に癒されてからいざ入店!
関口さんはちょっと驚いていたけれど、温かく?迎え入れてくれ、機材や什器、複業のことなど聞いたりおしゃべり。その後棚を舐め回すように見ていましたが関口さんもすぐに空気のように自分の仕事をし始め、レジとの近い距離感を感じないくらい心地の良い時間でした。海外文学が多くて楽しかった。先日来店いただいた未知谷さんの営業の方におすすめしてもらった『足し算の生』を発見して購入。あとフェミニズムZINEと、品切れしたまま読み損ねていたオカヤイヅミさんの『雨がしないこと』も発見して購入。移動中に読む。良すぎた。恋をしない雨さんと、周りの友だちや同僚、家族とのお話。"恋愛をしない限り、私たちは外出に特別な名前をつけない。待ち合わせて水族館に行っても。クリームソーダを飲んでも"。ただ「異性」であるからだというだけで、友だちと二人で過ごすことに不要な意味づけをされることが嫌だった。(「異性」であるというだけで、ドラマの終盤恋愛関係になってしまう展開も嫌な予感をしながら観ることが多い。)恋愛を絡ませなくっても、同じ温度で大切な人は大切な人なのである。『AはアセクシュアルのA』に並べたい。KADOKAWAよ、在庫たっぷり重版してくれ。ホクホクしながら移動してときわ書房志津ステーションビル店にも行きました。駅近すぎてびっくり。たのしい。日野さんはお休みの日だったけど、Facebookでいつも眺めているから日野さんPOPや日野さんのコーナーはすぐわかるので、じっくり眺める。書店員という立場と社会で起こっていることの間で悶えながら、思いを届けたくて作っているだろう棚。ここで買うと決めていた『戦争みたいな味がする』などを購入。ああ、本屋たのしい。元気になる。本屋ラブ。明日からも生きていける、と思った。
帰りは悔しいけどさすがに新幹線。電車酔いして何も手につかずでした。ぐぬ。
さて、今週末はついに『ソウル・サーチン』のトークイベントがあります!このことももっと書きたかった!1946年に沖縄に生まれ、沖縄戦を描くためにガードマンなど職を転々としながら1978年にデビューし、「沖縄で、沖縄を描く」ことに人生を捧げてきた沖縄の伝説的漫画家・新里堅進さん。その人生と作品を通じて問い直す特別企画として刊行された『ソウル・サーチン』。わたしは本作で初めて新里さんのことを知りましたが、独学でひたすら沖縄のことを漫画で描き続けた新里さんの作品群をこうして今、周りの声と共に形にしたことは、とても意義のあることだと感じます。
土曜日夜は、評伝を書いた藤井誠二さんが登壇されます。沖縄と東京の二拠点生活を続け「沖縄」について取材を続ける藤井さんが新里さんの評伝を書くことになった背景や、新里作品・新里さんの魅力、『ソウル・サーチン』が問うもの、表現していることなど、たっぷり語っていただきます。この圧倒的な作品がより多くの人の手に渡ってほしい、と思い企画しました。すでに読んだ方も、未読の方も、ぜひご参加ください!この分厚さに臆さず手に取って欲しい1冊です。
それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。
#NOW READING『ファシズムの教室』(田野大輔 / 朝日新聞出版)(これも志津で買いました📚)
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