TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #94
#94 INDEX
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HELLO
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新入荷&今週の1冊
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TOUTEN ベスト (2025.10.27-2025.11.9)
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イベント情報
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AFTER TALK
🤧HELLO
こんにちは!
いきなり個人的な話で恐縮ですが先週まで、急に生えてきた下の親知らずが元々すごい伸びていた上の親知らずとぶつかり、歯茎を傷つけ、ものすごい痛みに苦しんでおりました。ロキソニンがないと耐えられないイベント出店ウィークで、どんよりした顔を見せてしまっていたら申し訳ない気持ち。
無事、歯医者にも行けて今は痛みはほとんどないですが、今度は就寝時の乾燥で喉がやられました。ゆえに、ガラガラの声でお出迎えさせていただいております。レジにて心やさしい皆さまに心配いただき、さらに申し訳ない気持ち。
しかもこの喉になってから、久々に本チャンネルの収録がありました。また公開になったらお知らせをしますが、お聞き苦しかったらさらにさらに申し訳ない気持ち・・・。雑誌『エトセトラ』をテーマにした収録でしたが、『エトセトラ』今月末ごろ発売の最新号のゲラを読ませてもらったのですが、ものすっごく良かったので、今から声を大にして伝えておきます!特集は「SRHR」!福田和子さんと高井ゆと里さんの特集編集です。「SRHR」はセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツのことで、日本語だと「性と生殖に関する健康と権利」のこと。今回の年表がかなり保存版なのと政治とジェンダーの関わり合いが密接に読み取れる、非常に大事な回です。教科書にしたい1冊になっています。本当、おすすめです!発売が楽しみ!!!
📚新入荷&今週の1冊
しゃべって、しゃべって、しゃべクラシー! 憲法・選挙・『虎に翼』(カニクラブ、國本依伸 / タバブックス)
しゃべクラシー=おしゃべり+民主主義(デモクラシー)。『虎に翼』が縁でつながった、共に関西在住の女性3人おしゃべりユニットとベテラン弁護士。法について学び、選挙の行方を憂い、政治、社会、エンタメ、表現など、縦横無尽に語りまくった。緊急発行して話題となったZINE「参政党憲法をかわりに読んでみた。」を大拡張、読んだらきっとあのモヤモヤを誰かとしゃべりたくなる、元気と勇気と笑いにあふれた1冊。
彼女の最初のパレスチナ人(サイード ・ティービー、大津祥子=訳 / 小学館)
「力によって追放され、世界のどこにいようと「よそ者」として日常を引き裂かれ続けるパレスチナ人たちは、あなたのすぐ隣にもいるかもしれない。」(安田菜津紀さんより)安住の地となるはずの国で心揺らぐパレスチナ移民たちの日々が、珠玉の9篇に。瀬戸際に追い詰められながら自らのアイデンティティを探る姿を多彩な筆致で綴る、カナダ発傑作短篇集。
Θの散歩(富田ララフネ / 百万年書房)
大江健三郎、荒川洋治、メルヴィル、カフカ、井戸川射子、加藤典洋、聖書、田中小実昌、武田百合子、村上春樹、ドストエフスキー、小島信夫を読むことが子育てに与える影響についてーー。百万年書房代表・北尾さんの熱の入った案内メールだったことが印象深く、実際ためしに読んでみると本当に面白いほどスルスル読める。エッセイ?小説?わからないけど、本を読む楽しさが確かにそこにある。
わたしたちの停留所と、書き写す夜(キム・イソル、小山内園子 / エトセトラブックス)
わたしの言葉を、わたしはまだ取り戻せるだろうか。
40代未婚の「わたし」は、老いた父母やDVを受けて実家に戻ってきた妹親子のケア労働に果てなく追われ、詩人になる夢も「あの人」とのささやかな幸せもすべてを諦めて生きている。一日の終わりに、好きな詩を筆写することだけが自分を取り戻す時間であった「わたし」が、それすら失ってしまう前にとった選択とは――。韓国フェミニズムのうねりのなか生まれ、いま「停留所」に佇むすべての人におくる、真に大切なものを静かに問いかける「人生小説」。
\📚今週の1冊📚/
“わたしは、「過去」や「他者」に居場所を与えるような「まちづくり」にこそ未来があるのであって、そうでない「まちづくり」に未来はないと思っている。だから今、こうして「言葉」を探そうとしている。”
「再開発の言葉」から、「足もとの言葉」へ。「まちづくり」現場の20年を悶えながら記録した抵抗の随筆集。みんなで考える「まちづくり」。それにはひとつひとつ、言葉と向き合い、伝え合う必要があって、そもそも「みんな」とは、誰のことを指すのか、と考える。絶望したり、希望を持ったり、悶えながら書かれているまっすぐな言葉の数々。
こういう「まちづくり」の本を待っていました。
編集はまたもや柏書房・天野さん!(『クィアのカナダ旅行記』の天野さんです。)さすがだな〜〜〜〜。
📚TOUTEN BEST ( 2025.10.27-2025.11.9 )
会話の0.2秒を言語学する(水野太貴 / 新潮社)
会話で相手と交替するまで平均0.2秒。この一瞬にどんな高度な駆け引きや奇跡が起きているのか、日常の言語学をわかりやすく伝える、ゆる言語学ラジオ水野さんの書き下ろし。普段の会話に新しい視点をもたらしてくれ、会話の多様さを表してくれる、面白く優しい本だなと思います。大盛り上がりだったサイン会の際に作っていただいたサイン本、少しですがまだあります!
オマルの日記(オマル・ハマド、最所篤子=編・訳 / 海と月社)
ガザで避難生活を送る29歳の薬剤師オマル・ハマド氏が毎日Xに投稿しつづけた、ありのままのガザでの日々。「ジェノサイド」という言葉の奥にある生々しい凄惨な風景を、言葉だけで伝えるのは限界がありながらもなお、言葉を尽くし、「想像して」と伝えています。文学と詩を愛する彼の言葉は時に繊細に心に触れてくる。11月2日に開催されたパレスチナ展で最も反応のあった1冊。一人でも多くの人に手渡していきたい。
ひとりの時間(本村綾)
11月8日まで当店2階展示室にて開催されていた本村綾さんの個展「ひとりの時間」。本書は本村さんの約10年間にもわたる銅版画の作品がじっくり見れる一冊になっています。刷ることではじめて出会うことができる、その”遠さ”に思いを馳せながら、静かな時間を感じます。作品とのあたたかな距離感を、見る側も感じるような、豊かな「ひとりの時間」を感じられる作品集です。
AはアセクシャルのA(川野芽生 / リトルモア)
この世はあまりに「恋愛中心」に回りすぎでは?人と人との関係性のあり方は、ひとつひとつすべて違うのに。小説家、歌人、文学研究者として活躍してきた著者がアロマンティック(無恋愛)/アセクシュアル(無性愛)として生きてきた経験から考え抜き、怒りと祈りを込めて綴ったエッセイ。
復刻版 言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼(堀元見、水野太貴 / バリューブックス・パブリッシング )
「やまかわ」と「やまがわ」は同じ? ロボット犬はどう数える?「ヘリコプターで山を登った」は変?「えーっと」と「あのー」の違いは?本書を開き言葉の不思議さを知ってしまえば、きっとあなたも、友人との会話や街で見かける広告コピーが気になってしかたなくなるはずだ。ようこそ、「言語沼」へ。こちらもサイン会でたくさん売れていった1冊。水野さんパワ〜!
👀展示&イベント情報
【25.11.14-11.24】さしこのうつわ個展『39展』
刺し子をイメージしたうつわを制作している、さしこのうつわさんの個展です。30代ラストイヤーというタイミングでの、自分と周りの人への感謝の気持ちを込めた『39(サンキュー)展』とのことで、「超個人的な」個展。本からイメージした陶器が並びます。
イベント情報
アーカイブ配信中!!!【25.10.25】『クィアのカナダ旅行記』刊行記念イベント「どうつくる? クィアな本/空間」
2023年と24年、二度のカナダ滞在をもとに、バックラッシュが強まる日本の政治的状況を踏まえながら記録した『クィアのカナダ旅行記』。25年夏に再びカナダを訪れたという水上さん、本書を編集した天野さんに「クィアな本をつくること」について伺いつつ、セーファーな空間づくりを考える本屋の目線から、「クィアな棚/空間をつくること」について日々思っていることお話しました。ここでしか聞けない「クィアな本/空間」をめぐるトーク、アーカイブ配信中です!
【25.11.29】『ソウル・サーチン』刊行記念トークイベント「「沖縄」について描き続ける新里堅進について書くこと」(企画協力:南部さん)戦後80年。「沖縄で、沖縄を描く」ことに人生を捧げてきた沖縄の伝説的漫画家・新里堅進さんの人生とその作品を通じて問い直す特別企画として刊行された『ソウル・サーチン』。新里さんの貴重な作品群の間に、ノンフィクション作家・藤井誠二さんによって取材され書き上げられた新里さんの評伝が収録されています。この圧倒的な作品がより多くの人の手に渡ってほしい、と思い企画しました。すでに読んだ方も、未読の方も、ぜひご参加ください!
【25.12.4】 小山内園子×吉川トリコ「どうしてわたしたちはこんなにもK-BOOKが好きなのか!」
韓国本を楽しむフェア「K-BOOK FAIR」の連動企画!『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』著者で翻訳家の小山内園子さん、名古屋が誇る小説家の吉川トリコさんが韓国の本の魅力を語り尽くします!お二人が思うそれぞれの韓国本の魅力、おすすめしたい本など、じっくり語り合っていただく時間になります。トーク後にはプチサイン会も。ぜひ、お越しください!
【25.12.6】『彼女は裸で踊ってる』第2巻刊行記念イベント 岡藤真依トークイベント〜ストリップ、踊り子、フェミニズム〜(主催:ばんの)『彼女は裸で踊ってる』第2巻刊行を記念して、トークイベントを開催します。作者の岡藤真依さんと、ストリッパーの黒井ひとみさんをお招きして、ストリップという表現の世界を舞台に、自身の“体”を取り戻す姿を描く本作について語ります。ゲスト・黒井ひとみさんによるプチダンスショーあり。※定員に達したため受付を終了しました。
【25.12.6】直面する学習会2025「軍国主義に抵抗した女性たち」(主催:ジェンダー読書会なごやさん主催)
ジェンダー読書会なごやさん主催のイベント「直面する学習会」。昨年は中国・万人坑(=人捨て場)を訪ね歩き続けた青木茂さんより、日本の戦争加害の歴史について学びました。今年は反戦NPO団体「ワールド・ビヨンド・ウォー」(WBW)の日本支部長Joseph Essertierさんを講師に、軍国主義に抵抗してきたフェミニストたちの話を聞けるそうです。暗澹たる気持ちの中、縋る思いで参加するイベント……!詳細はリンクよりご確認ください!
【25.12.16】「あなたも、わたしも、あの人も!みんなで生き残る会議」本屋lighthouse関口さん、クレオパトラブックス・クレオさんと集まって、「みんなで生き残る会議」を開催します!なんか生きづらいなあと思うこと、こんなこと吐き出していいのかなあと思うこと、持ち寄ってどうしたら「みんな」がハッピーな方向へ向かえるんだ!ということをワイワイ悶々おしゃべりするお話会です。政治に疲れた感じ、生活に不安な感じ、エトセトラエトセトラ、みんなでシェアして少しでも希望を持って帰ることができればと思います。ぜひご参加ください💪
☕️AFTER TALK
「もののけ姫」の4Kデジタルリマスター版を観てきました。実は今年、どうしても「もののけ姫」が観たくなってDVDをレンタルしたのですが、ちょいちょいフリーズするわ、大事なところで飛んでしまうわで散々でした。今回映画館で観れると聞いてすごく嬉しかった・・・。最初から最後まで面白いが続く150分、すごすぎる。もう一回行きたい。
子供の頃観ていた時はエボシの動きが全く理解できず、ジコ坊もよくわからない存在(運動神経良すぎ)で、ヤックルがかわいい!のイメージばかりでしたが、大人になって観ると、本当によくできた作品だと感じる。ネタバレなので未視聴の人はスルーしてください・・・。
森に住む生き物と人間の戦い。森に住む生き物たちは種を超えて共生しているのに、それを壊し軽視する種は人間だけ。(ショウジョウはサンに「人間」だと攻めて傷つけていたし、アシタカはモロに「サンは人間だ」と言い切って怒られていたけど。)自然の畏怖をなくし、コントロールできると思い込んでいる。その森を切り壊すタタラ場のエボシは、社会的に排除されていた人たち(身売りされていた女性やハンセン病患者の人々など)の居場所をタタラ場というかたちで作っている。
ハンセン病患者の長の「生きることはまことに苦しく辛い。世を呪い、人を呪い、それでも生きたい。」という言葉に涙が出た。時代は異なるけれど、絶賛視聴中の朝ドラ「ばけばけ」を思い出した。怪談につきものの「恨めしい」という言葉は、歴史上に名のない人から社会に放たれた言葉に感じる。この世は恨めしい。でも諦めたくない。
アニミズム的なアシタカの村のことやエボシには相談できる人がいなかったのか(だからジコ坊に利用されてしまったのでは)についても気になったところだけど、その後、タタラ場はどうなっていくのかが一番気になる。野暮かな。社会正義的なアシタカがエボシと一緒に村を再建するということで、森の生き物が、人間一人一人が尊重されるユートピアのような世界を作ることができるのだろうか。ひとまず『もののけ姫 ロマンアルバム』を読まなければ。『日本の歴史をよみなおす』(網野善彦)も合わせて・・・。
それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。
#NOW READING 『高木りゅうぞう作品集』(高木りゅうぞう)
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