TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #92

ほぼ隔週火曜にお送りするニュースレターです。
toutenbookstore 2025.10.15
誰でも

#92 INDEX

  • HELLO

  • 新入荷&今週の1冊

  • TOUTEN ベスト (2025.9.29-2025.10.12)

  • イベント情報

  • AFTER TALK

🍠HELLO

こんにちは。読書の秋、ブックイベントの秋ということで、下記出店情報です。

今週末は今年も本のさんぽみちに出店します。毎年たのしみなイベント。秋の空気感のもとの本のイベントって、どうしてこんなに心がうきうきするんだろう。11月2日は、初のパレスチナ展。同日には、とよたブックマーケットもあります!こちらは車の関係で出店が叶わなかったのですが、ぜひハシゴしてください📚翌日3日はマーケット日和です。芝生でごろごろしたい。

今月は当店でのイベントもまだまだあります。まずは今週金曜の夜、唐澤龍彦さんによるクロージングイベントがあります。演奏と映像のデモンストレーション。予約不要です。土曜日には唐澤さんが引き続き在廊されます。お見逃しなくっ!

18日土曜の夜は『バナナのらんとごん』トークイベント「搾取から連帯へ、食べ物でつながる世界。バナナから見えること」が開催されます。バナナが抱える社会課題や安全性の問題、歴史的背景について、また規格外バナナを利用するプロジェクト「ぽこぽこバナナプロジェクト」についても語ります。当日は、「顔のみえる店~FAIR TRADE 風"s(ふ~ず)」さんが出店されます!うれしい!ご予約はこちらから!

そしてその次の土曜日、25日には著者の水上文さん、本書の編集の天野潤平さんをお招きして『クィアのカナダ旅行記』刊行記念トークイベント「どうつくる? クィアな本/空間」を開催します!天野さんは柏書房の編集者さんで、当店でも長く売れている松岡宗嗣さんの『あいつゲイだって』や小沼理さんの『共感と距離感の練習』など、手がけられています。

差別禁止法もなく、同性婚や選択的夫婦別姓に対して反対の立場の自民党総裁が誕生した(首相指名選挙、公明党が離脱したことでどうなることやら。脱線。)今の日本。

カナダでの風景を見つめ、日常の中や文学を読む中でどのように変化したかという話や、男女二元論、家父長制的価値観が根強く居座る政治・社会・言論環境に対してどう向き合っていけばいいのかということ、そんな中で本づくりについて実践している/考えていること、どういった空間がふえていくことが希望か、など、クィアという言葉がもつ意味を改めて考えながら、みなさんとも一緒に語り合える時間になるといいなと思います。未読でもご参加可能です◎水上文さんの文章を読まれている方はもちろん、場作りをしている方、本を作りたいと思っている方にもふれてほしい本&イベントになると思います。ぜひご参加ください!ご予約はこちらから。

📚新入荷&今週の1冊

随風 02( 宮崎智之、早乙女ぐりこ、ha、古賀及子、花田菜々子 他 / 書肆imasu)
創刊号は刊行後たちまち重版となり話題をさらった、随筆復興を推進する文芸誌『随風』。今号は執筆陣にpha、古賀及子、花田菜々子、絶対に終電を逃さない女、佐々木敦らを迎える。サイン入りで入荷しています。和氣正幸さんの「独立書店の販売力」というコラムで、当店の販売冊数データを提供しています。他の書店さんの1冊の販売力が強くて、「すご・・・」とちょっと落ち込みつつ(!)も、見習うところは見習いながら「よそはよそ、うちはうち」と心の中でじっと唱える。笑

アナアキストの悪戯( 伊藤野枝 / マヌケ出版社)
習俗打破! 大正の世において因習にとらわれず、国や権力からも縛られずに生きようとした伊藤野枝。パートナーの大杉栄や仲間たちと過ごしたアナキスト時代の生活が、本人の筆でいきいきと綴られる傑作選。マヌケ出版社、1冊目の商業出版。

資本主義の敵( チョン・ジア 橋本智保=訳 / 新泉社)
「ここに資本主義の真の敵がいる。かつて社会主義を信奉した私の両親のことではない。資本主義の動力である欲望を否定する者たちだ。」純文学と諧謔的コメディが交錯するなかで実存的な問いを鋭く掘り下げた傑作短篇集。発禁作『パルチザンの娘』でデビューし、『父の革命日誌』が30万部を超す大ベストセラーを記録した、孤高の女性作家の真骨頂。

トーフビーツの(難聴)ダイアリー2023( tofubeats / ハイハット合同会社 )
DJ/音楽プロデューサーであるtofubeatsが突発性難聴をきっかけに描き始めた日記を書籍化した2022年の「トーフビーツの難聴日記」。難聴からコロナ禍に突入する音楽業界・本人の結婚までを赤裸々に描いた日記はその後シリーズ化。2作目のZINEです。今回も音楽を生業とする人間のライフスタイルが少し覗ける1冊となっています。ハイハットステッカー付き。

\📚今週の1冊📚

書影

書影

”僕らは詩を朗読し合う。それは僕たちが受け継ぐ伝統であり、歴史だ。戦争マシンの音とこんながれきに囲まれていても、僕たちは生き直すために花々を撒く。”
6月23日の日記

ガザで避難生活を送る29歳の薬剤師オマル・ハマド氏が毎日Xに投稿しつづけた、ありのままのガザでの日々。「ジェノサイド」という言葉の奥にある生々しい凄惨な風景を、言葉だけで伝えるのは限界がありながらもなお、言葉を尽くし、「想像して」と伝えています。文学と詩を愛する彼の言葉は時に繊細に心に触れてくる。

今回の停戦も、すでに雲行きが怪しくなってきている。
もう、本当に、本当の停戦になってほしい・・・。

📚TOUTEN BEST ( 2025.9.29-2025.10.12 )

ソファはわたしのために 唐澤龍彦作品集(唐澤龍彦)
群馬県桐生市をベースに活動する美術家・音楽家の唐澤龍彦の作品集。アクリル絵の具のカラー作品、ペン画にコンピュータで着色したカラー作品、日々描き続けているペン画作品、液状の透明画材を使用した作品に、それぞれ言葉が添えられている。散文のような、小さな小説のような、または一コマ漫画のセリフのような言葉たちが並ぶ。「ソファはわたしのために」。なににも縛られたくない自由な気持ちに寄り添ってくれる1冊。

読点magazine、増補版
TOUTEN BOOKSTORE発行のZINE。2021年5月にクラウドファンディングのリターン用に制作し配布した『読点magazine、 特別版』に、開業1年後からスタートしたニュースレターの文章と、本屋ができてからのコラムを追記した増補版です。

群青のハイウェイをゆけ( きくち / hayaoki books )
ときに身軽な散歩のようで、ときに切実な祈りのような、週末の旅の記録。「うらやましい感受性と文才」「すぐれた短編小説のよう」 ブログで絶賛コメント殺到。謎のはてなブロガーきくち、待望の初書籍。こちらは森泉岳土さんの装画によっていい空気を纏っている。(好き。)

「要するに」って言わないで( 尹雄大 / 亜紀書房 )
この本が目指すのは、「自分のダメなところを変える」ことではありません。あなたが負った傷を、そっと癒すためのセルフケアです。そのために必要なのは、自分の話を、正しいとか間違ってるとかジャッジせずに、ぜんぶ聞くこと。そして、勇気を出してぜんぶ語ること。装丁可愛すぎっ!

それがやさしさじゃ困る( 鳥羽和久、植本一子=写真 / 赤々舎)
子どもに向けられる「善意」や「配慮」が、時に子どもの心を傷つけ、主体性を奪ってしまうという逆説を、教育現場の最前線で20年以上子どもと向き合ってきた著者・鳥羽和久さんが鋭く描き出す一冊。単なる批判にとどまらず、大人の葛藤や弱さへの眼差しがこめられているからこそ、言葉が胸に響く。日記の存在がまた良い。

👀展示&イベント情報

展示情報【25.9.27-10.18】唐澤龍彦作品展
群馬県桐生市の美術家・音楽家の唐澤龍彦さんの個展。きっかけは当店もお世話になっている3月クララさん。唐澤さんは3月クララさんが属する文芸ユニット『るるるるん』の書籍の装画を手がけられていて、今回縁があり個展を開催いただくこととなりました。唐澤さんのペンドローイングのアカウント(instagram)は(時に風刺的な視点も含む)ユーモアたっぷりの世界観で、個人的にすっかりファンの一人になっています。作品展はペンドローイング以外にも多様な手法/表現で制作された作品群に出合えます。

展示ヴィジュアル。唐澤さんのドローイングがたくさん。

展示ヴィジュアル。唐澤さんのドローイングがたくさん。


展示情報【25.10.24-11.8】本村綾「ひとりの時間」
銅版画作家・本村綾さんの個展。昨年、東京・奥渋谷の本屋さん「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS本店)」にて開催された個展「ひとりの時間」が、名古屋に巡回します。SPBS本店で展示した作品に加え、あらたな新作を含めた版画作品を展示予定。会期中には銅版画に挑戦できるワークショップも!ぜひリンクよりご確認ください。(本村さんより)「たくさんのひとに愛されているTOUTEN BOOKSTOREという場所で、ここで過ごす時間を大切に想うみなさんと、本展をとおして出会うことができれば幸いです。」

1F展示・イベント情報【25.10.18】『バナナのらんとごん』原画展&トークイベント「搾取から連帯へ、食べ物でつながる世界。バナナから見えること」
フィリピンの「バランゴンバナナ」を主人公に、バナナが日本にやってくるまでのプロセス、交易が支える現地のバナナ農家の暮らし、フードロスになってしまうバナナがある事実など、楽しい旅物語を通してたくさんの考える種をまく内容になっている『バナナのらんとごん』の原画展を1階の奥スペースで開催しています。原画展最終日の18日は、「搾取から連帯へ。食べ物で繋がる世界、バナナから見えること」と題したトークイベントを行います。フィリピン・ネグロス島で起きた飢饉をきっかけに設立され、以来40年、アジア・世界との連帯をテーマに活動を続けてきた、株式会社オルター・トレード・ジャパン/NPO法人APLAさんが、一般的なバナナが抱える社会課題や安全性の問題、歴史的背景について、また規格外バナナを利用するプロジェクト「ぽこぽこバナナプロジェクト」について語ります。規格外バランゴンバナナのお土産つき!身近な存在バナナから考える社会のこと。ぜひお越しください🍌

イベントのご予約はぽこぽこバナナプロジェクト事務局【poco2banana@gmail.com】まで、件名に「イベント予約:10/18@TOUTEN BOOKSTORE」、本文にお名前、人数を明記の上メールをお願いします。メールのリンクはこちら。

【アーカイブ配信中!】『その〈男らしさ〉はどこからきたの? 広告で読み解く「デキる男」の現在地』刊行記念トークイベント
小林さんのトークは何度聞いても面白い!今回はたくさんのテレビCMを観たり、戦争時のプロパガンダ広告と選挙ポスターの比較をしてみたり、海外のCMを観たりと、また前回と異なった内容で聞き入りました。特に男性の広告表象におけるケアについて、「鍛錬」(「肌を鍛える」など)にされたり、「ありのままの弱さ」を肯定することがあまりないように見えました。男性同士のケア、セルフケアも大事にされてほしい。。。集団化されることや、ロボ化(=非人間化)されることなど、可視化・言語化することとっても大事。今回は感想の数もとても多かったです。ぜひ!アーカイブを見てほしいです!

【25.10.22】出張星読み+選書(主催:私設図書館もん・つっちー)
私設図書館もんの館長・つっちーさんの星読み、好評につき、9月と10月も開催が決定!自分の生まれた瞬間の星の配置から、その人の性質や得意とされること、人生のタイミングの話など、読み解いていきます。わたし自身受けてみて、腑に落ちることもたくさんあってびっくりしました💫なによりも客観的に自分を見直すことができて、ふっと肩の力が抜ける時間を過ごせるひとときなのがよかった。今回も星だけでなく(?)本読みでもあるつっちーさんが、選書をしてくれるサービスがついています📚

【25.10.25】『クィアのカナダ旅行記』刊行記念イベント「どうつくる? クィアな本/空間」
2023年と24年、二度のカナダ滞在をもとに、バックラッシュが強まる日本の政治的状況を踏まえながら記録した『クィアのカナダ旅行記』。25年夏に再びカナダを訪れたという水上さんに、トロント・プライド2025への参加など、最新の旅の報告もいただきながら、本書について語っていただきます。また、本書を編集した天野さんもお越しいただけるとのことで、「クィアな本をつくること」について伺いつつ、セーファーな空間づくりを考える本屋の目線から、「クィアな棚/空間をつくること」について日々思っていることなどをおふたりとお話したいと思います。ここでしか聞けない「クィアな本/空間」をめぐるトーク、みなさんのご参加をお待ちしています!

【25.10.24/25/11.8】本村綾「ひとりの時間」ワークショップ「銅版画をつくろう」
本村綾さんの個展「ひとりの時間」に合わせてのワークショップ。銅版画の「ドライポイント」技法でハガキサイズの銅版画を制作します。9×12cmの銅板にニードルで直接描画し、インクを詰めてプレス機で刷る工程まで、銅版画の基本的な制作を体験できます。貴重な体験になると思いますので、ぜひご参加ください〜!

【25.12.6】『彼女は裸で踊ってる』第2巻刊行記念イベント 岡藤真依トークイベント〜ストリップ、踊り子、フェミニズム〜(主催:ばんの)
『彼女は裸で踊ってる』第2巻刊行を記念して、トークイベントを開催します。作者の岡藤真依さんと、ストリッパーの黒井ひとみさんをお招きして、ストリップという表現の世界を舞台に、自身の“体”を取り戻す姿を描く本作について語ります。ゲスト・黒井ひとみさんによるプチダンスショーあり。※定員に達したため受付を終了しました。

☕️AFTER TALK

Titleの辻山良雄さんが当店にお越しになった日のことを書いてくれました。

Title(タイトル)
@Title_books
夏に名古屋に行った時の楽しかった話。金山のTOUTEN BOOKSTOREや、「駅裏」の平和園にいる時も、ずっと何か感じるものがあったけど、書いてみて、やはりわたしはジェントリフィケーションに抵抗があるのだなと気がつきました。gentosha.jp/article/28145/
あゝ、名古屋|本屋の時間|辻山良雄 8月19日。名古屋の気温は、東京よりも2度高い37℃。2度しか違わないのではなく、2度も違うのだと、電車を降りた瞬間に思 www.gentosha.jp
2025/10/15 09:46
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辻山さんの視点の沢上商店街。当店での時間の流れ。ブラジルコーヒー最高ですよね。嬉しい。平和園で炒飯食べたい口になってしまった。

辻山さんの言う、ジェントリフィケーションへの抵抗感はすごくわかる。まちの「再開発」からこぼれ落ちたもの、追いやられたもの、均質化されてしまったもの。「時代から置き忘れられたような古くて短い商店街」もまた、その影響を受けている。

その店の姿はまるで、意志を持って立っている、最後の人間のようだった。
「あゝ、名古屋」より

リニアの影響による再開発の渦にある町中華「平和園」を見て残された言葉。店を作るのは人間だし、まちを作るのもまた、人間であると思う。行政・ディベロッパー主体のトップダウンのまちづくりに、属性だけで語られない生身の人間は存在しているのだろうか。今日発売の西本千尋さんのエッセイ集『まちは言葉でできている』(柏書房)をめくるとまさに、その現場でもがき考え続けた人の声が詰まっている。まちづくりの中で足元から言葉を紡いでいくこと、まちと人間をつなぎ合わせようという意思は、未来への希望だと思う。

前回もふれましたが、金山周辺も2028年までにはアスナル金山が閉鎖されるなど、街の様子がガラッと変わっていくなかで、「再開発」の声が聞こえてくる。10月28日にはメキシカン料理のお店Callejera STAND GARAGEさんにて、クリエイティブ・リンク・ナゴヤさん主催のトークイベントがあります。(クリエイティブ・リンク・ナゴヤさんは今回金山の街・人・文化を掘り起こし、思考するためのメディアプラットフォーム「MINED&MIND」を作りました。)金山の店主さんたちと一緒に私も登壇するのですが、わたし自身の姿勢も、自分に問うておきたいなと思います。

▼イベント詳細はこちら

それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。

#NOW READING 『まちは言葉でできている』(西本千尋 / 柏書房)

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