TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #86

ほぼ隔週火曜にお送りするニュースレターです。
toutenbookstore 2025.07.22
誰でも

#86 INDEX

  • HELLO

  • 新入荷&今週の1冊

  • TOUTEN ベスト (2025.7.7-2025.7.20)

  • イベント情報

  • AFTER TALK

🌿HELLO

こんにちは!まずは参院選、お疲れさまでした!ぐるぐる考えていることはアフタートークに書きました。

今週25日から、らっこばやしさんによるラッコの写真展が始まります。少しでも癒される時間になればと……🦦(とはいえラッコの歴史も人間の乱獲/気候危機の影響といったダークな部分とセットで知っていただけたら。)らっこばやしさんのラッコへの愛が年々増しているというか、「ラッコたちとずっと生きていける世界のために」という思いが大きくなっていっているような気がします。今回はトークイベントも2本開催されます。ラッコの魅力を伝えていくぞ、の気持ちとラッコラブ!の気持ちが両方乗ってていい感じ。

13日には「TOUTENおしゃべりCLUB「99%のためのフェミニズムについて、もっと話そう!」」が開催されました。菊地さんの研究対象であるネオリベラルフェミニズムについて、ワイワイとおしゃべりした時間になりました。自分のこと話しすぎたかな、そしてまとまらないうちに言葉にしすぎたかな、と個人的には反省しまくりでしたが、菊地さんと水野さんのお話はとても面白かったのでぜひポリタスTVで放映の際はご視聴ください。フェミニストの間では中々なかった虎つばへの批判的な眼差しについてはまだ理解しきれていない部分があったりもして、自分の中にも内面化されてるかもしれないネオリベラルフェミニズムについてや、この社会でどう抗っていくか、対話ができるのか?などなど、実践的な話も今後できたらいいなあと思います。そもそもネオリベラルフェミニズムって?みたいな話も、できたらいいね、という話をしていたので、またこういう機会を作れたらいいなあと思っています。『99%のためのフェミニズム宣言』『日本のポストフェミニズム』の他にも、『ネオリベラル・フェミニズムの誕生』『反中絶の極右たち』がおすすめのブックリスト。

📚新入荷&今週の1冊

なぜ社会は変わるのか はじめての社会運動論(富永京子 / 講談社)
社会はひとりでに変わっていくわけではない。そこには必ず「変えた」人たちがいる。デモにストライキ、不買運動…社会運動はどのようにして起きるのか。気鋭の社会学者による、日本初となる社会運動論の入門書。

tattva Vol.10(花井優太=編 / ブートレグ)
特集は「わたしたちが普段言葉にする本物について」。本物って?ふるさとの味は? 古き良き? 彷彿とさせる?これが本物であると、私たちが思えるものは何なのか。本物と偽物が並んでいたら、多くの人が本物を選び取るでしょう。私たちが大好きな本物は、どうやってできている?

漫画選集ザジvol.3(点滅社編集部 / 点滅社)
オルタナティブを模索する漫画誌第三弾。ガロ、アックス、架空、銀星倶楽部、ラモーンズなどに憧れて製作され、闇鍋感とアングラ感がより一層強くなった1冊。378ページの大ボリュームです。表紙の装画は山川直人さん。テーマは「野垂れ死に」。

\📚今週の1冊📚/

東北にも関東にも、東北随一の漁業の町にも観光地にもなりきれない。東日本大震災と原発事故後、傷ついたまちで放射能に恐怖し、風評被害は受けたが直接的被害は少なかった、福島県いわき市小名浜。

著者の小松理虔さんは、この地で生まれ育ち〈中途半端〉さに悶えながら地域活動をしてきた。当事者とは、復興とは、原発とは、ふるさととは――10年を経た「震災後」を、地元の人々はどう捉え暮らしてきたのか。魅力的な市井の人々の話を聞き、綴った、災害が絶えない世界に光を灯す、渾身の人物エッセイ。

里山社さんから新刊のご案内をいただいた時に、小松さんの『ただ、そこにいる人たち』で読書会をしたことがあること、その本がとても良かったことを伝えると、まさに里山社さんも『ただ、そこにいる人たち』の書きぶりが印象に残っていて、そのスタイルを踏襲した人物エッセイのかたちをとったとおっしゃっていて、とても楽しみにしていた新刊なのでした。

当事者と当事者でないものの線の間(理虔さんは共事者と呼んでいます)をウロウロと考え続ける理虔さんの率直な思いが綴られていて、厄災が続くこの世界で生きる私たちにとって必要な本だと思います。会いに行き、話を聞き、気持ちが揺れる。揺れる中でいっしゅんピントが合うような、光が差し込むような瞬間。ぜひ読んでほしい1冊です。

📚TOUTEN BEST ( 2025.7.7-2025.7.20 )

100年後、あなたもわたしもいない日に(土門蘭=短歌 寺田マユミ=絵 / 京都文鳥社)
2017年10月、京都文鳥社から出版された歌画集『100年後あなたもわたしもいない日に』。テーマはトリミング。ところどころ切り取られたページが、言葉を隠したり、絵を覗かせる。生きるために書かれた土門蘭さんの短歌と、言葉を包み込むように描かれた寺田マユミさんの絵が、遊びだして、とてもロマンティックな歌集です。

ドロップぽろぽろ(中前結花)
『好きよ、トウモロコシ。』著者の中前結花さんの初めての私家版エッセイ集。過去の作品に加筆し仕上げたもの5編と、書き下ろし6編を収録。「ぽろぽろこぼした涙の記憶」がテーマ。涙が流れるのは悲しいときだけじゃない。中前さんのエピソードの語り口に思わず笑ってしまうこともしばしば。

反家父長制結婚式完全記録本(松本ユイナ)
"結婚と家父長制、資本主義、SNS、労働、美的規範……プレ花嫁・卒花嫁による当事者研究と実践の記録。ユイナさんの語り口がテンポ良くて本当いいリズムで読めるのでおすすめの一冊。

99%のためのフェミニズム宣言(シンジア・アルッザ、ティティ・バタチャーリャ、ナンシー・フレイザー、惠愛由=訳、菊地夏野=解説 / 人文書院)
1%の富裕層ではなく、「99%の私たち」のために、性差別・人種主義・環境破壊のない社会を。いまや世界中に拡がる女性たちの運動とも共鳴しながら、研究の第一線でも活躍するジェンダー学者たちが、性の抑圧をもたらす現代資本主義の終焉を呼びかける。分断を正確に認識することで、私たちはまだ連帯できる。

選挙漫遊記 文庫版(畠山理仁 / 集英社)
選挙取材歴20年以上の畠山理仁さんによる楽しくてタメになる選挙エッセイ。参院選前に文庫化。 文庫版書き下ろしでは、2024年東京都知事選挙を収録。畠山さんの選挙を愛する姿勢にグッときます。8月25日には今池のTokuzoさんにて畠山さんの選挙漫遊講座がありますよ!ぜひ〜!

👀展示&イベント情報

展示【25.7.25-8.2】北海道のラッコ カリフォルニアのラッコ アラスカのラッコ〜 Wild Sea Otters in the World〜
毎年恒例!らっこばやしさんによるラッコの写真展です。北海道、カリフォルニア、アラスカ……野生のラッコに会いに、カメラを抱えてどこへでも行くらっこばやしさんの探究心と愛がすごい。

かわいい。〜〜〜〜〜🦦〜〜〜〜〜

かわいい。〜〜〜〜〜🦦〜〜〜〜〜

展示【25.8.7-23】熱田空襲を知る展
終戦直前の1945年6月9日、8分間の空襲で2,068人の死者を出した熱田空襲。戦時中、軍用機生産の拠点であった愛知時計電機などが狙われたこの熱田空襲では、多くの学徒動員の学生が亡くなりました。熱田空襲一般犠牲者慰霊のための「平和地蔵尊」が撤去の危機を迎えた際にできた「熱田空襲遺跡を守る有志の会」の代表の林さんは中日新聞の取材で「戦争を伝えるものがなくなると記憶もなくなり、新たな戦争が始まる。それを止めたい。」と語っています。記憶を受け継ぐための展示になればと思います。8月7日、8日、9日、いずれも13時〜18時ごろのあいだは「熱田空襲遺跡を守る有志の会」のみなさんによる、ガイド付きの展示になります。お子さんにとっては夏休みの学習に、大人にとっても地域で起きたことを知るための時間に、ぜひ!お越しください。

9日はイベントもあります!

9日はイベントもあります!

イベント情報

【アーカイブ配信中!】大原扁理×石井あらた トークイベント「隠居と山奥ニート、これからどうする?」
10年以上、メインストリームから外れたオルタナティブな生活を実践してきた大原扁理さんと石井あらたさん。結婚・子育て・親の介護などのライフステージによって、その生活は少しずつ変化してきています。そして隠居や山奥二ートでなくても、こうした変化に直面し、これまでの生き方を手放さなくてはならないときがあります。ふたりは変わっていくことをどのように受け止めているのでしょうか。この10年の心境の変化や、社会の変化、そしてこれからのことなど、自由にお話いただきました!イベントのレポはこちら。

【25.8.9】熱田空襲を知る展トークイベント 講師:西形久司さん
(主催:熱田空襲遺跡を守る有志の会)8月7日から始まる「熱田空襲を知る展」と連動したトークイベントです。ピースあいち理事で名古屋空襲研究者の西形さんによるトークイベントです。何が起きたのかを知り、いま起きている戦争にも引きつけながら考えられる時間になればと思います。ぜひ、お越しください!

【25.8.27】出張星読み+選書 予約枠完売しました🙏
私設図書館もんの館長・つっちーさんの星読みが当店でもスタート!自分の生まれた瞬間の星の配置から、その人の性質や得意とされること、人生のタイミングの話など、読み解いていきます。わたし自身受けてみて、腑に落ちることもたくさんあってびっくりしました💫なによりも客観的に自分を見直すことができて、ふっと肩の力が抜ける時間を過ごせるひとときなのがよかった。今回速攻で完売してしまいましたが、今後も開催予定ですのでどうぞよろしくお願いします🙏

☕️AFTER TALK

とにかく、参議院選挙、お疲れさまでした。選挙権のある人にとっても、ない人にとっても、情報過多でクタクタになる期間だったのではないかな、と思います。

給料が低かったり、働けなかったり、休めなかったり、生活するだけで大変なのに、自己責任論が浸透している中だと、助けてと言いづらいし、目の前のことでいっぱいになってしまう。スーパーで感じる物価高騰感は本当凄まじい。海外旅行も随分行けてないし、あらゆるお菓子が小さくなっているのは目の錯覚??ってなる。

そんな中「あなたのせいじゃないんだよ」と言ってくれる声が、「外国人」という仮想敵を作った「わかりやすい答え」を用意したことで、届いてしまった。人々の不満の吐口と、主語を大きくして勇ましい言葉がこんなにも熱狂を作り出すとは。歴史は忘却されないように、引き継いでいかなければならないことを強く感じます。

「あなたのせいじゃないんだよ」という声の先に、福祉が、人権が、事実に基づいた情報が、政治や社会の構造の問題が伝わるものがあれば。主語をあなたに戻して、隣で語り合う場所がもっとあったら、変わるのだろうか。どうしたら伝わるんだろうか。政治については私自身もまだまだ勉強不足すぎて、学び考える場所をどういうふうに作っていこうと考え中です。

荻上チキさんのSessionの参院選開票ライブは毎度のことながら聞けてありがたい。
個人的に「3:17:40 【自民党】石破茂 総裁」、「3:37:30【参政党】神谷宗幣 代表」は必聴かと。自民党・石破総理の歴史認識について聞けたこと、参政党・神谷代表が誤ったヘイトスピーチ観を持っていることが印象的でした。


それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。

#NOW READING 『ネオリベラル・フェミニズムの誕生』(キャサリン・ロッテンバーグ 河野真太郎=訳 / 人文書院)

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