TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #89
#89 INDEX
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HELLO
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新入荷&今週の1冊
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TOUTEN ベスト (2025.8.18-2025.8.31)
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イベント情報
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AFTER TALK
✍️HELLO
こんにちは。まだまだ暑い日が続きそうですね。昨日蚊に顔を刺されて今日もずっと気になっています。か、かゆい。みなさまも虫刺されほか、体調ご自愛ください。
実はいま、職業実習の生徒さんが一人、本屋の仕事を学びに来てくれています。本棚の整理をしてくれたり、展示スペースの掃除をしてくれたり、本棚も喜んでいる感じがします。本屋の仕事の中でも黙々する作業が好きだと日誌に書いてくれて、とてもありがたい。知らない本にふれることができることも楽しいと言っていて、その感覚、わかるなあ〜と思いつつ、淡々とした仕事ばかりで退屈させるんじゃないかなと不安に思っていたので、ホッと一安心。
自分がいつも見ている景色と全く違う風に見えるのだろうと思う。毎日の仕事の振り返りを聞くたび、そのフィルターを分けてもらっているようで、私にとってもいい時間になっています。慣れすぎると雑になってしまう部分もあるので、自戒自戒……。
📚新入荷&今週の1冊
スペクテイター〈54号〉パンクの正体(エディトリアル・デパートメント=編)
カルチャー誌・スペクテイター最新刊!パンクとは何か?どのようにして生まれ、社会をどう変えていったのか?関係者への取材と文献調査を通じて、その正体を明らかにする。
昭和 女たちの食随筆(木村衣有子 / 中央公論新社)
たべものについて饒舌に綴り語ってきたのは、主に男たちだった。昭和の女によって、食はどう語られていたのか。舞台を台所に限らず、受け身になることなく、ポジティブにたべる力強さがあらわれていて、現代の私たちを鼓舞してくれるような文章20数篇を木村衣有子さんが選ぶ。
群青のハイウェイをゆけ(きくち / hayaoki books )
ときに身軽な散歩のようで、ときに切実な祈りのような、週末の旅の記録。2010年代から現在まで、青年期と共にあった短い旅の記録をまとめた短編集。旅行記19編とエッセイ6編を収録。装丁は吉岡秀典氏(セプテンバーカウボーイ)、装画を漫画家の森泉岳土氏が担当しています。
スノードーム(香山哲 / 生きのびるブックス)
小説に登場するのは、スノードームの中のオブジェたち。オブジェたちの間に流れた「滅亡の噂」について、話し合い、考え続ける、小さな世界のお話。「考えるとは何か」「その先に何があるのか」。そんなことに興味がある、すべての人に読んで欲しい1冊です。
\📚今週の1冊📚/
『ゆきのゆきちゃん』(きくちちき / ミシマ社)
「わたし ゆきちゃん」
「ゆきと おなじ なまえなの なんでか しってる?」
ねこのゆきちゃんが雪がふりしきる山のなか、森のどうぶつたちに尋ねます。
ちいさなうれしさを、ずっと大事にしておくために。
りす、ふくろう、うさぎ……名前の由来を尋ねていくうちに、共通点が見つかって、友だちがふえていくのが愛おしい。遊んでいる様子はもう言葉では表せられない愉快さがあって、みんなのびのび生き生きしていてかわいいのです。
銀世界を表すような印刷は素敵でかっこいい。
5日からは2階展示室で原画展があります。じっくり堪能してほしい1冊です。
📚TOUTEN BEST ( 2025.8.18-2025.8.31 )
選挙漫遊記 文庫版(畠山理仁 / 集英社)
選挙取材歴20年以上! 『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で第15回開高健ノンフィクション賞を受賞した著者による”楽しくてタメになる”選挙エッセイを文庫化。
8/25に今池・Tokuzoで開催された選挙漫遊講座に出張販売に行きました。畠山さんのお話が面白すぎてたっくさん売れ、帰り荷物が軽くなってありがたかったです。こちらの『黙殺』PVが会場で流されて、「『黙殺』をまだ持っていない方全員じゃないか!?」、というくらい押し寄せ、品切れに!在庫もっと持っていけばよかった!『黙殺』読むと選挙見る目が変わりますよ。
(都知事選以降、変わった節もあるけれど……)
会話の0.2秒を言語学する(水野太貴 / 新潮社)
ゆる言語学ラジオスピーカーが、言語学の魅力をオタク目線で伝える。会話で相手と交替するまで平均0.2秒。この一瞬にどんな高度な駆け引きや奇跡が起きているのか。日常の言語学をわかりやすく伝える、待望の書き下ろし。
水野くんとは数年前、ブックマークナゴヤ(今の「本のさんぽみち」の前にやっていた本のイベント)のボランティアを一緒にやっていたことがあり、新刊出るたび何かしらやらせてもらっていたのですが、8/31の名古屋で開催されたイベントに合わせて急遽ミニサイン会を開いてくれました。直前の告知&猛暑日だったにも関わらず、たくさんの方がいらっしゃってくださり、ありがたかったです。時間の関係もあり、用意していた本がすぐになくなってしまい、参加できなかった方には本当に申し訳ない気持ち……。次回以降の改善点も見つかったので、また機会があればスマートな運営頑張りたいです。水野くんがお客さんのことだけでなく終始店の売上のことも考えてくれていて、どこまでもいい人すぎて頭が下がる思い。堀元さんもチケット完売のお知らせをものすごいスピードで投稿していてインフルエンサーの凄さを垣間見たいい経験になりました。気配りがすごい。
読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全(堀元見 / 新潮社)
教養なき下ネタは去れ。令和に棹差す珠玉の金言集、完成。コーンフレークは性欲を抑えるために開発された?先人たちの飽くなき探究と実験により得られた性科学的知見の数々。著者ならではの考察と多角的な視点から生まれた、下ネタの〈総合知〉と称すべき賢者の書。
未熟なラッコカメラマンのはじめてのアラスカ日記(らっこばやし / RACCOLABO)
2025年5月、念願のアラスカへラッコを追いかけて写真を撮影してきたラッコカメラマン・らっこばやしさんによるはじめてのアラスカ旅の記録🦦かっこよくてかわいい野生のラッコ。ぜひ!
読点magazine、増補版
本チャンネルの影響か、まだまだ通販でもよく売れております!「Youtube見ました」と声をかけてくださる方も何人もいて、15分も尺があるのにありがたいです。照れの気持ちは無くならない。
👀展示&イベント情報
きくちちきさんの絵本『ゆきのゆきちゃん』(ミシマ社)の原画展を開催します!暑い日が続きますが、せめて絵本の中だけでもふわふわした雪のことを思い出しながら冬の世界を堪能いただけたらと思います。絵本のほかに、なんと版画作品や、かわいいかわいいグッズの販売もございます。和紙に描かれた原画の迫力と美しさを、ぜひお楽しみください。
【アーカイブ配信中!】熱田空襲を知る展トークイベント 講師:西形久司さん
(主催:熱田空襲遺跡を守る有志の会)8月7日から始まる「熱田空襲を知る展」と連動したトークイベントです。ピースあいち理事で名古屋空襲研究者の西形さんによるトークイベントです。何が起きたのかを知り、いま起きている戦争にも引きつけながら考えられる時間に。
【25.9.11】異なる声を可視化する ー『イコール』『夜をめくる星』出版記念イベント
(主催:田原真人(雑誌「イコール」編集長/AI研究家))
私たちは、普段どれだけ「異なる声」に耳を傾けられているでしょうか。マイノリティとされてきた人の声、母語のままでは届きにくい声、かき消されがちな女性の声。それらをどうすれば世界に存在させ、可視化し、聞こえるようにできるのか。AI翻訳を活用した多言語マガジンの挑戦と、小説という形で声を物語に変える試み──「異なる」を表すことについて、雑誌編集長と小説家が語ります。
【25.9.13】『その〈男らしさ〉はどこからきたの? 広告で読み解く「デキる男」の現在地』刊行記念トークイベント
広告の中で「男らしさ」はどのように表現されているのか、社会的な背景や歴史的な文脈に照らし合わせながら分析し、その表現の由来を問い探っていく内容の本書。トークイベントでは著者の小林美香さんによる本書のお話を通して、男女二元論的、異性愛規範的に固定化されがちなジェンダー表象について問いかけ、みなさんといっしょにその先を考えられる時間になればと思います!
【25.9.17】『小名浜ピープルズ』刊行記念イベント「私はどのようにして暮らしを楽しみながら「個人史」に行き着いたか。」
東日本大震災と原発事故から10年。魅力的な地元の人々と話し、綴った、災間を生きるすべての人へ捧ぐエッセイ『小名浜ピープルズ』(里山社)。本書の刊行を記念して、著者の小松理虔さん、街づくりの研究者である古橋敬一さんとのトークイベントを開催します。進行は、かすがい市民文化財団の山川愛さんです。「私はどのようにして暮らしを楽しみながら「個人史」に行き着いたか。」をテーマに、トークされます。大きな社会の話と小さな個人の話をどのように行き来していくか、という話にもつながっていきそうで、楽しみ。
【25.10.25】『クィアのカナダ旅行記』刊行記念イベント「どうつくる? クィアな本/空間」2023年と24年、二度のカナダ滞在をもとに、バックラッシュが強まる日本の政治的状況を踏まえながら記録した『クィアのカナダ旅行記』。25年夏に再びカナダを訪れたという水上さんに、トロント・プライド2025への参加など、最新の旅の報告もいただきながら、本書について語っていただきます。また、本書を編集した天野さんもお越しいただけるとのことで、「クィアな本をつくること」について伺いつつ、セーファーな空間づくりを考える本屋の目線から、「クィアな棚/空間をつくること」について日々思っていることなどをおふたりとお話したいと思います。ここでしか聞けない「クィアな本/空間」をめぐるトーク、みなさんのご参加をお待ちしています!
☕️AFTER TALK
イベントに向けて頭がぐるぐるまとまらない状態なので、突然ですが最近の推し漫画を紹介します。
・『おかえり水平線』(渡部大羊 /集英社) 銭湯が舞台だけど心も洗われます。
・『ありす、宇宙までも』(売野機子 / 小学館) 毎回涙でる。全員にありがとうの気持ち。
・『路傍のフジイ』(鍋倉夫 / 小学館) 最近のフジイはすごい。
・『復讐が足りない』(冬野梅子 / 講談社) 冬野梅子先生が「性被害」をテーマに。毎度課金。
・『言葉の獣』(鯨庭 / リイド社) 新刊が出たので、早く読みたい。トーチもアプリ欲しい。
それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。
#NOW READING 『海をこえて 人の移動をめぐる物語』(松村圭一郎 / 講談社)
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