TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #93

ほぼ隔週火曜にお送りするニュースレターです。
toutenbookstore 2025.10.29
誰でも

#93 INDEX

  • HELLO

  • 新入荷&今週の1冊

  • TOUTEN ベスト (2025.10.13-2025.10.26)

  • イベント情報

  • AFTER TALK

🍂HELLO

出店のお知らせ📚📚📚📚

11月2日は、初のパレスチナ展。同日には、とよたブックマーケットもあります!こちらは車の関係で出店が叶わなかったのですが、ぜひハシゴしてください📚翌日3日はマーケット日和です。芝生でごろごろしながらたのしみましょう〜。

ああ、今回も「ほぼ」火曜という言葉に甘え水曜配信となりました・・・。

先日25日は『クィアのカナダ旅行記』刊行記念イベント「どうつくる? クィアな本/空間」のトークイベントでした!(水上さんの感想ツイート、クリックすると続きが読めます👀)

水上文@『クィアのカナダ旅行記』
@mi_zu_a
昨日はTOUTEN BOOKSTOREさんでのイベント、すごく楽しかったです…! クィアな本作り、空間づくりを中心に、私は今年のカナダ滞在で感じたこと、同人誌作成経験なども踏まえながらお話ししました。TOUTEN BOOKSTOREさん、天野さん、来てくださった皆様、本当にありがとうございました😭🫶
TOUTEN BOOKSTORE @toutenbookstore
イベント情報【25.10.25】『クィアのカナダ旅行記』刊行記念イベント「どうつくる? クィアな本/空間」 著者の水上文さんと柏書房の編集者・天野潤平さんをお招きし、店主の古賀も一緒に3人で、「クィアな本/空間をつくること」についておしゃべりします! 詳細→ https://t.co/Af4ejSK4JY https://t.co/WTV3kO0IaJ
2025/10/26 09:53
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個人的にはイベントのあと、うまく喋れなかった〜〜〜(泣泣)と思って落ち込んでいたので(大体こうなる)、水上さん、天野さんが「楽しかった」と感想を述べてくださっていて安心しました。お二人の話は本当大切な視点が多くて、頷きマシーンと化しておりました。自分の声を聞くのがすごい苦手なので、おそるおそる動画に字幕をつけています。近々配信スタートしますので、ぜひ!

お話を通じて、エッセイという形で、一人のクィアとして綴る生活の言葉を残していくこと、そして個々の語りである本(同人誌・ZINEとしても、商業本としても)が棚の中に存在することの重要性を改めて感じました。売場でも、専門的なもの・初めて知れるもの・個人の語りの数々、それぞれが同じように存在することを意識しています。当事者性、非当事者性、共事者性、それぞれがまざり合っていく場所になるといいなと思う。そういうふうに棚を作っていたのは、イベントの後振り返る中で気づきました。

今回の『クィアのカナダ旅行記』は、社会/政治の問題を個人的な出来事からひらいていて、だからこそ多くの人に読んでほしい内容になっていると思います。ある一人の生活の話がもっともっとひらかれていくことが、社会はすでに多様であるということを可視化させてくれる。あと、本づくりにおいても、場所づくりにおいても、「属人性」に頼らざるを得ないこともっと語りたい。個人的には本/売場には「属人性」大事だと思っています。その「人」が動きやすい社会/会社だったりすることのほうが考えていかないといけないよな、と。

また、同人誌・ZINEと、商業本の違いは(多くは)編集者が伴走していないか/いるかという点があるかと思うけれど、今回の本作りの中で感じた違いを、伺いたかったな、と(例えばZINE/商業本にだからこそ書けたこと、とか。)今になって思う。(またいつか話したい。)イベントで喋るターンがあるたび、うまく言えなくて、焦って表層の部分だけ先走ってしまい、今回も自分の発言の雑さ/粗さにずーんと落ち込んでいますが、そもそもこういうときじっくり考えてから話すことが苦手で、たぶんそれは沈黙の時間を恐れているからだと思う。もっとゆっくり、じっくり沈黙を恐れないことが12月にあるトークイベントでの目標です。慣れが必要。あと『会話の0.2秒を言語学する』も読み込もう。今週土曜は著者の水野太貴さんが来ますヨ。(突然の宣伝。)

📚新入荷&今週の1冊

とりあえず話そう、お悩み相談の森 解決しようとしないで対話をひらく(安達茉莉子 / エムディエヌコーポレーション)
森の生きものになった気持ちで読む、解決しようとしないお悩み相談!身近な人にはちょっと話しづらく感じてしまう、人付き合い・働くこと・暮らしの悩みに、悩みを問題と捉えて解決しようと“しない”姿勢で、対話をするように応答していきます。

AはアセクシャルのA(川野芽生 / リトルモア)
この世はあまりに「恋愛中心」に回りすぎでは?人と人との関係性のあり方は、ひとつひとつすべて違うのに。小説家、歌人、文学研究者として活躍してきた著者がアロマンティック(無恋愛)/アセクシュアル(無性愛)として生きてきた経験から考え抜き、怒りと祈りを込めて綴ったエッセイ。

ICHIKO AOBA 15th Anniversary Book(青葉市子 橋本倫史=インタビュー / 阿檀書房)
活動15周年を記念し、2025年1月に京都と東京で開催されたコンサートの密着ドキュメント。舞台裏や各公演のレポート、公演直後のインタビューまでを取材した記念本です。写真は野田祐一郎さん、インタビューは橋本倫史さんです。

自分の中を旅する 統合失調症×フェミニズム(Mari
自身の発病体験や入院生活、そこからの回復の過程を描くとともに、そこで感じたこと、考えたことをフェミニストの視点でまとめたZINE。

\📚今週の1冊📚

書影画像。版元ドットコムからですが、荒くてすみません。。。

書影画像。版元ドットコムからですが、荒くてすみません。。。

益田ミリさん描き下ろし!すごい。こんな笑いに満ちたラジオみたいな漫画も描けるんだ!と驚きました。舞台がファミレスというのもいいし、二人の会話のテンポがすごくいい。中年と呼ばれるのはまだ先ですが、こんなお喋りがあるなら楽しめそう。なんて思わせてくれる一冊。

今週末のREADING GOHSTSの20時からの読書会「たたかわないビブリオバトル」のテーマは、「私の隣の益田ミリ」だそうです👻私は『中年に飽きた夜は』『マリコ、うまくいくよ』『ツユクサナツコの一生』が持っていきたい・・・。

📚TOUTEN BEST ( 2025.10.13-2025.10.26 )

読点magazine、増補版
TOUTEN BOOKSTORE発行のZINE。2021年5月にクラウドファンディングのリターン用に制作し配布した『読点magazine、 特別版』に、開業1年後からスタートしたニュースレターの文章と、本屋ができてからのコラムを追記した増補版です。

それがやさしさじゃ困る( 鳥羽和久、植本一子=写真 / 赤々舎)
子どもに向けられる「善意」や「配慮」が、時に子どもの心を傷つけ、主体性を奪ってしまうという逆説を、教育現場の最前線で20年以上子どもと向き合ってきた著者・鳥羽和久さんが鋭く描き出す一冊。単なる批判にとどまらず、大人の葛藤や弱さへの眼差しがこめられているからこそ、言葉が胸に響く。日記の存在がまた良い。現在重版中。11月前半の再々入荷予定です。

人のさいご(医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック)
「人のいのちがどう閉じられていくのか」という自然な変化について、当事者である本人を含む、あらゆる人が読むことができるように、言葉を選び、丁寧に綴った本です。日々看取りに向き合う在宅医療・ケア関係者が、患者さん方から実際に「人は死ぬときにどう変化していくのか」と問われてきた経験から生まれた本で、とても誠実な本だと思います。本のさんぽみちで大変注文を浴びていました。

アナアキストの悪戯( 伊藤野枝 / マヌケ出版社)
習俗打破! 大正の世において因習にとらわれず、国や権力からも縛られずに生きようとした伊藤野枝。パートナーの大杉栄や仲間たちと過ごしたアナキスト時代の生活が、本人の筆でいきいきと綴られる傑作選。マヌケ出版社、1冊目の商業出版。

『クィアのカナダ旅行記』(水上文 / 柏書房)
2023年と24年、二度のカナダ滞在をもとに、バックラッシュが強まる日本の政治的状況を踏まえながら記録した、文筆家・水上文さん初のエッセイ集。「LGBTQ先進国」と言われる一方で、先住民や有色人種への差別が残り、パレスチナ解放をめぐって揺れ動いてもいるカナダ。クィアの可視性について、またある場面ではマジョリティ側にいるからこそ見えないでいられる自らの鈍感さについても考えさせられます。

👀展示&イベント情報

展示情報【25.10.24-11.8】本村綾「ひとりの時間」
銅版画作家・本村綾さんの個展。昨年、東京・奥渋谷の本屋さん「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS本店)」にて開催された個展「ひとりの時間」が、名古屋に巡回。SPBS本店で展示した作品に加え、あらたな新作を含めた版画作品を展示されています。当店限定の作品も・・・!「たくさんのひとに愛されているTOUTEN BOOKSTOREという場所で、ここで過ごす時間を大切に想うみなさんと、本展をとおして出会うことができれば幸いです。」(本村さんより)

展示のDM画像。ねこと植物、そしておばけのような存在がいる。

展示のDM画像。ねこと植物、そしておばけのような存在がいる。

【25.10.25】『クィアのカナダ旅行記』刊行記念イベント「どうつくる? クィアな本/空間」2023年と24年、二度のカナダ滞在をもとに、バックラッシュが強まる日本の政治的状況を踏まえながら記録した『クィアのカナダ旅行記』。25年夏に再びカナダを訪れたという水上さん、本書を編集した天野さんに「クィアな本をつくること」について伺いつつ、セーファーな空間づくりを考える本屋の目線から、「クィアな棚/空間をつくること」について日々思っていることお話しました。ここでしか聞けない「クィアな本/空間」をめぐるトーク、アーカイブ配信準備中です!

【25.10.31】READING GHOSTS
月に1度の金曜日、夜営業の時間にひっそりと現れる「READING GHOSTS」。ただ読書をする時間を共有する場所です。18時から20時までは2階のカフェ席は読書席となります。20時から21時はなにを読んだか、最近の本の話など、その場で居合わせた人たちと読書会をします。3月クララさんから一言 「おばけになって本を読もう」

【25.10.24/25/11.8】本村綾「ひとりの時間」ワークショップ「銅版画をつくろう」
本村綾さんの個展「ひとりの時間」に合わせてのワークショップ。銅版画の「ドライポイント」技法でハガキサイズの銅版画を制作します。9×12cmの銅板にニードルで直接描画し、インクを詰めてプレス機で刷る工程まで、銅版画の基本的な制作を体験できるWSです。※定員に達したため受付を終了しました。

【25.12.6】『彼女は裸で踊ってる』第2巻刊行記念イベント 岡藤真依トークイベント〜ストリップ、踊り子、フェミニズム〜(主催:ばんの)
『彼女は裸で踊ってる』第2巻刊行を記念して、トークイベントを開催します。作者の岡藤真依さんと、ストリッパーの黒井ひとみさんをお招きして、ストリップという表現の世界を舞台に、自身の“体”を取り戻す姿を描く本作について語ります。ゲスト・黒井ひとみさんによるプチダンスショーあり。※定員に達したため受付を終了しました。

【25.11.29】『ソウル・サーチン』刊行記念トークイベント「「沖縄」について描き続ける新里堅進について書くこと」(企画協力:南部さん)
戦後80年。「沖縄で、沖縄を描く」ことに人生を捧げてきた沖縄の伝説的漫画家・新里堅進さんの人生とその作品を通じて問い直す特別企画として刊行された『ソウル・サーチン』。新里さんの貴重な作品群のあいだ間に、ノンフィクション作家・藤井誠二さんによって取材され書き上げられた新里さんの評伝が収録されています。この圧倒的な作品がより多くの人の手に渡ってほしい、と思い企画しました。すでに読んだ方も、未読の方も、ぜひご参加ください!

【25.12.16】「あなたも、わたしも、あの人も!みんなで生き残る会議」
本屋lighthouse関口さん、クレオパトラブックス・クレオさんと集まって、「みんなで生き残る会議」を開催します!なんか生きづらいなあと思うこと、こんなこと吐き出していいのかなあと思うこと、持ち寄ってどうしたら「みんな」がハッピーな方向へ向かえるんだ!ということをワイワイ悶々おしゃべりするお話会です。政治に疲れた感じ、生活に不安な感じ、エトセトラエトセトラ、みんなでシェアして少しでも希望を持って帰ることができればと思います。ぜひご参加ください💪

☕️AFTER TALK

先週末は、FEMI-BRIDGE-AICHIさん主催の「映画を観て語る会」に行ってきました。キネマノイで映画「女性の休日」を観たのち、菊地夏野さんの講演を聴き、グループごとにおしゃべりする会でした。もともと一般参加の予定だったのですが、ひょんなことから、本も販売させていただきました。

1975年10月24日、アイスランド全女性の90%が仕事や家事を一斉に休んだ、前代未聞のムーブメント「女性の休日」。国は機能不全となり、女性がいないと社会がまわらないことを証明した。その後、アイスランドは最もジェンダー平等が進んだ国(2025年世界経済フォーラム発表・ジェンダーギャップ指数16年連続1位。日本は118位)となり、女性大統領と女性首相が国を治めている(2025年現在)。世界に衝撃を与えた、運命の1日を振り返るドキュメンタリーが、50周年を記念して公開となる。
「女性の休日」HPより
https://kinologue.com/wdayoff/

アイスランド全女性の90%ということで、保守的な人も連帯して巻き込んでいったという内容がありました。めちゃくちゃパワフルで、集ってワイワイしながら連帯していく、元気がもらえる映画でした。購入したパンフレットにもあった通り、アニメーションを用いることでクリエイティビティが高まり、エピソードひとつひとつが一人一人の物語として表現されていたのが良かったです。劇中にあるミソジニーなイベントに対するアイデアがとってもユニークだったし、デモの様子は圧巻でした。たのしく社会変革する、というのはこういうことかと。本当たのしそうでよい〜。

しかし、これを現代に照らし合わせると微妙な気持ちになるというか、なかなか険しい状況だなというのが正直な感想でもあります。ジェンダー平等と謳うのならば、性的マイノリティが見えにくい時代であるとしても、男女二元論的な価値観に対しての動きも入れてほしかった。

フェミニズムという言葉が認知されていく一方で、高市早苗氏のようにフェミニズムを嫌悪している人もいる。ポストフェミニズム的に、もうすでにジェンダー平等は達成していて(それならこの賃金格差はどう説明するんだろう?とか思うんだけれども・・・)今は自由競争でしょ、と考える人もいる。ジェンダー差別に対して、政治的イデオロギーに引っ張られない形で連帯していくことがもはや困難な時代に、どう抗えるのか。ていうか、人権問題がイデオロギー化しているようで、「なぜ!!!!」という気持ちになる。もっと一人一人の経験を話し合えて、個人個人で考え合える時間が必要だよな、と思います。映画みたいに、ユーモアを持ちつつ集いたい。

それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。

#NOW READING 『とりあえず話そう、お悩み相談の森』(安達茉莉子 / エムディエヌコ-ポレ-ション)

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