TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #112
#112 INDEX
HELLO
新入荷
TOUTEN ベスト (2026.7.20-2026.8.2)
イベント情報
AFTER TALK
🌳HELLO
こんにちは。熊本の地震の被害の大きさ、この暑さの中での被災といった状況に、胸が痛みます。心より、お見舞い申し上げます。激甚災害に指定されたとニュースで見ましたが、熱中症被害など、一刻を争う状況だと思います。早く対応できるよう税金を使ってほしい。
当店では、イベントが連続した最近でした。和泉悠✕朱喜哲トークイベント「バラバラな世界で共に生きるために、悪いことばから考える」も、小児科医もりしー先生 × 産婦人科医かなっぺ先生トークイベント「子どもを守る性教育は、何を大切にするのか」 も、とても良い内容で、和泉さんと朱さんのトークを聞いてから、今もなおずっと頭がぐつぐつと沸騰中です。「哲学は構造を俯瞰するためのレンズ、文学は構造を乗り越えるための想像力」というわたしの感想謎メモがPCの「メモ」に残っている。もりしー先生とかなっぺ先生のトークでは、もりしー先生が普段子供向けに行なっている包括的性教育をじっくりやってくれて、「これは人権教育だ!」と感動。もっと早く受けたかった、という自分の声が脳内に切実に響く。しっかりレビューも書きたい、と思ったまま、時間がすぎております……!
2階展示室では鹿児島よりお越しのsanakaさんによる「sanakaEXHIBITION 2026 [追憶する衣服]」が始まりました。sanakaさんは着物をほどいて衣服に繋いでいきます。また、ほとんどハサミを用いないことから、着物→衣服→着物というふうに、戻ることも可能な点も面白い。(どういうふうに形を変えていくのかが、図になっています。)期間中はsanakaの佐藤好縈(こうよう)さんが在廊されていて、朝の時間や合間合間におしゃべり。

解体された着物がどのようにパンツやスカートになるのか示した図。面白い。
場をつくるということ、人への伝え方や、資本主義との付き合いかた、最近考えていること、興味のある人や生き方などなど、つい話し込んでしまう。
私は以前、店のマーチャンダイズを作る中で、こんなにものが溢れている時代に、これ以上「あたらしいもの」を生み出す必要があるのだろうか、と考えることがあった。し、今もよく考えている。「つくる」という創造性をいいものだと思いながらも、同時に作り出すことに罪悪感に近いものを感じていることがある。もちろん、個人としては日々生きるうえで、「つくる」という行為はとても身近で、たのしいこと。料理をしたり、あるもので棚を作ってみたり。店として、つくることが商業的になるとき、この問いと居心地の悪さが乗っかってくる。sanakaの展示風景を見たり、好縈さんと話す中で、わたしが考えていた「「あたらしいもの」を生み出す必要があるのだろうか」という問いは、あらゆるものへの存在の否定になるのかもしれないなと思った。それは人間の創造性や思考の否定にも繋がってしまうのではないか、とちょっと怖くなった。わたしが抱える嫌さは、つくる=つかうという関係性が軽薄になることや、「売れればOK」という無責任さなのかもしれない。すぐ捨てられてしまうことだとか、半永久的に土に還らないものだとか。形を変えたり、用途を変えたり、直して使えたり……そんなものだったら、つくることに希望を持つことができるかもしれない。あと商業的な「つくる」という行為は良く言えば?「つくる」という行為を請け負って、悪く言えば「つくる」という行為を奪っているということなのかも。また、思想を伝え広げていく行為でもある。そんなことをぐるぐる考えつつ、でもマーチャンダイズを作りたいなあ、と思ってもいる。(トートも復活させたいのに、さまざまな事情でできていない。)
こうやっておしゃべりすることで気づいたり、拡がったりするのがたのしい。そして本当に素敵な衣服がずらりと並んでいるので、ぜひ期間中にお越しください!

展示の入り口の写真。手作りの看板の奥に衣服が並ぶ。
📚新入荷
グループF(もぐこん=編)
漫画家・もぐこんさんが4年に一度、ワールドカップの年に合わせて編集・発行する同人誌『グループF』。INAさん、ひうち棚さん、こいけぐらんじさんと東海勢がつよく漫画版ご当地本にも感じられる。もくじ 三島芳治「生徒手帳交換少女ブラックホール」 INA「瀬戸の家」 もぐこん「焼き場にて」 ひうち棚「えんぎもの」 これでいいんだ村「タオカイに行きたい メトロポリタン ナポリタン」 こいけぐらんじ「ライブで寝るやつは殺します」 西村ツチカ「ほんまのクマ」
石とザアタルの地 パレスチナ文学アンソロジー(山本薫=編/皓星社)
1950年代から現代まで、8名の作家でたどるパレスチナ文学の道程。山本 薫、岡 真理、武田朝子、田浪亜央江、佐藤まなによる作家・作品の訳者解説を付す。破壊と殺戮のなかで、その歴史を物語に託し、書き紡いできた者がいる。パレスチナのために、自由のために。
戦争と五人の女 河出版(土門蘭/河出書房新社)
舞台は広島・呉。1953年、戦後の娼街に流れた、「町が焼かれる」という不穏な予言。女たちが、互いの痛みを知りながらもそれぞれの方法で「からだ」を使い、編み上げる祈りとは。土門さんの初小説が、河出書房より商業出版になって登場。サイン本で入荷しています。
彼女は裸で踊ってる 3(岡藤真依/講談社)
「毎話号泣しながら読んだ」「この作品に救われた」ーーー現役の踊り子&スト客から大絶賛の声多数!ストリップを観て、自らの体や性、そして世界と向き合う物語、堂々完結です。
\📚今週の1冊📚/

近年、子どもの性被害やSNSトラブルは低年齢化し、家庭での性教育の重要性が高まっている。本書は、小児科医・森重智(もりしー先生)が、子どもたちの気持ちに寄り添いながら、家庭で今日から始められる「包括的性教育」について語る、やさしい教育エッセイ。「これまでの性教育とどこが違うの?」「包括的性教育は何歳から」「プライベートゾーンの教え方は?」など、子どものために親が知っておくべき大切なことを、わかりやすく紹介。
●本書の構成
第1章/これまでの性教育とどこが違うの? 包括的性教育とは何か
第2章/実際にこんな教育やっています 僕の出張授業へようこそ
【クイズ】授業の最後はクイズでおさらい
第3章/日々のさまざまなシーンがそのチャンス 家庭でできる包括的性教育
【実践編】おうちでやってみよう
第4章/もし性被害に遭ってしまったら…… わが子を守るために大切なこと
包括的性教育が、違い・互いを尊重することであったり、人権教育であることが丁寧に伝えられていて、性教育と聞くとセックスのことだと思ってしまったり、全く意識していなかった人にこそ届いてほしいと思います。親だけでなく、包括的性教育を学んでこなかった全ての大人が読むべき本。本の中ではあまり言及されていないけど、包括的性教育が進められないことには、政治の責任がとても大きい。「包括的性教育」は自殺や性暴力の予防になる、ということはとても重要な点です。大きなうねりになるために、こういう本が広く読まれて、人権に対する土壌が耕されていくといいなと切に願います。
📚TOUTEN BEST (2026.7.20-2026.8.2)
悪いことばの力(和泉悠/大和書房)
悪口のメカニズムを平易に紹介した、すごい本です。悪いことばが悪い理由は、「感情」ではなく「力関係」をみるとよくわかる。ことばの使い方に迷う、大人のための言語哲学の本。
バラバラな世界で共に生きる(朱喜哲/NHK出版)
わかり合えない他者を、敵にしないために。分断が極まり、「正しさ」がSNSでぶつかり合う社会で、私たちは他者といかに語り合えるか。アメリカの哲学者リチャード・ローティは、共通の基盤なき世界でそれでも人が共に生きる可能性を問い続けた。その哲学から、分極化の時代を生きるための知的作法を鮮やかに引き出す。
良い子でいたら幸せになれるんじゃなかったのかよ(白瀬世奈/百万年書房)
良い子は絶対的な正義だったじゃないか。そんなの、良い子でいたら幸せになれるって思うじゃんか。全然、全部、大丈夫じゃない。赤裸々な本音に共感殺到の傑作ZINE、完全版。
反戦ZINE(gasi editorial/タバブックス)
世界中で人の命が奪われ続けている。日本は今、戦争ができる国へと近づいている。そんな中、戦争反対の声がひろがっている。大勢で、ひとりで。暮らす地域で、自分にできるかたちで、模索しながら声を上げる人がたくさんいる。戦争をするな。人の命や尊厳を奪うな。2026年夏、「反戦」する人々の行動とことばを1冊に残す。
me and you little magazine vol.1 特集:愛も生活も、たよりないから
me and youによる初の雑誌。Web Magazine『me and you little magazine』で2025年からおこなっていた特集「愛も生活も、たよりないから」を一冊にまとめた、ライフ&カルチャー雑誌です。本誌には、Webで掲載していた内容に加え、書き下ろし原稿も多数収録。愛を遠いものではなく、身近な「ここ」から感じて、考えていけるようなページがぎゅっと詰まった一冊。
👀展示&イベント情報
sanakaは、キモノやハオリを解き、鋏を殆ど入れず、型紙も使わず、考案した折り紙のような十四型の衣服をつくる。九州拠点に展示即売とオーダーを受けながら全国各地を巡っている。同じ形であれば、箪笥に眠るキモノ・ハオリでのオーダーも可能。お持ちの方はメンテナンスや相談も随時受付中。本展示では、作品群の展示に加えて「追憶する服」として過去オーダーをしてくれたキモノに纏わる個人史を紐解き、先祖の記憶が微かに残るキモノと本人との回想録を表現する。

東京・高円寺にある書店の蟹ブックスさんとギャグ漫画家・藤岡拓太郎さんが企画した「戦争ゆるさんほんとにやだいいかげんにしろブックフェア」に当店も参加しています。フェアでは選書リストとコメントが掲載された冊子のほか、藤岡拓太郎さんがデザインしたグッズも販売中。

全国45の書店員が選んだ、「平和」を考えるための本をまとめた冊子「平和をつくるブックリスト」に合わせてフェアを開催しています。当店も選書とコメントを寄せています。主催はふりつづみ天鼓堂さんと、すいかのたね文庫さん。

👉👉👉👉👉つぎの展示👉👉👉👉👉
2階展示室
8月13日 ~ 19日 熱田空襲展
9月 12日 ~ 26日 『天沼』(港の人)写真展
・ 『赤松』(palmbooks)原画展は延期になりました🙇
🎫🎫🎫🎫🎫イベント情報🎫🎫🎫🎫
アーカイブ配信中!【26.7.18】『非核三原則 ーいま、何が問われているのか』刊行記念トーク 浅野英男✕羽田蒼馬「非核三原則見直しと語られるいま、私たちは何を問われているのか?」
「安保3文書改定」「非核三原則見直し」報道されることが多くなったこれらの言葉ですが、それ以上深堀りされることはあまりありません。成立するまでの歴史や立ち位置を少し深掘ると、意外と綱渡りな道のりの延長線上で、いま「非核三原則見直し」が検討されている…ということが見えてきます。それでは実際に見直したら、現実的にどんな課題が出てくるのか?日本や東アジア、世界の将来はどうなるのか?どうしたら平和に向かうことができるのか?共著者の1人である浅野英男さんをお迎えしてお話しいただきました。
アーカイブ配信中!【26.7.25】和泉悠✕朱喜哲トークイベント「バラバラな世界で共に生きるために、悪いことばから考える」
ことばと社会について思考し、実践を続ける言語哲学者・和泉悠さん&朱喜哲さんによるトークイベント!互いにバラバラなまま、どうすれば共に生きていけるのか。悪いことばから見つめることで、考える時間になりました。とても面白かったです〜!
アーカイブ配信中!【26.8.1】『子どもの心と体を守るために 親子で学ぶ包括的性教育』刊行記念 小児科医もりしー先生 × 産婦人科医かなっぺ先生トークイベント「子どもを守る性教育は、何を大切にするのか」
「これまでの性教育とどこが違うの?」「包括的性教育は何歳から?」「プライベートゾーンはどう伝えたらいい?」「もし性被害に遭ってしまったら、大人はどう支えたらいい?」
そんな問いを入り口に、家庭や保育・教育の現場で、大人が子どもたちにどんな言葉を手渡せるのかを一緒に考えます。一人でも多くの人に聞いてほしい人権教育だと思いました!ぜひ。
【26.8.15】「熱田空襲を知る展」記念トークイベント 講師:中野見夫さん
終戦直前の1945年6月9日、8分間の空襲で2,068人の死者を出した熱田空襲。戦時中、軍用機生産の拠点であった愛知時計電機などが狙われたこの熱田空襲では、多くの学徒動員の学生が亡くなりました。現在一宮市の観音寺前住職であるシャンソン和尚・中野見夫さんの生家は、熱田空襲犠牲者の遺体安置所となった熱田区八番町の専光寺でした。地域で起きたことを知るための時間に、ぜひ、お越しください。
【26.9.19】『自分を大切にできない時に読む本』(筑摩書房)刊行記念 大原扁理×服部みれい 発売記念トークイベント 「今こそ、自分を大切にできない時のすごしかた」
昨年1月に当店にて開催し、満員御礼だった大人気トークイベント 「自分をたいせつにできないときのすごしかた」がきっかけで、一冊の本になりました!執筆を経て、さらに深まったこのテーマ。自分を大切にする力も残っていないとき、どうすればいいのか。なぜ自分を大切にできないという状態があるのか。著者が本気で取り組んだセルフケア体験談。そして制作裏話や、書き終わってからわかったことなどなど……。今まさに、自分を大切にできていないと感じる方や、過去にそうだった方、あるいはこれからの自分のために。ヒントが見つかるお話満載でお届け!
【26.8.29】TOUTEN BOOK CLUB 『自分を大切にできない時に読む本』 ゲスト: 大原扁理
こちらは扁理さんとの読書会です!本を読んだ感想、自分を大切にできていない/できなかった話、それをどのように乗り切ればいいのかなどなど、わいわいお話いたしましょう〜!
☕AFTER TALK
突然ですが最近よく聞いているポッドキャスト。だいたい開店前の掃除や作業時間に聞いています。今朝は「こたけ正義感の聞けば無罪」の大島育宙回を聞いていました。『なぜあなたの感想はふつうなのか』を読むか……。(まんまと)
・京都でたまたまラジオ#たまラジ
小川たまかさん、おひろさん、中村佳太さんのおしゃべり。週1で(多分)収録後すぐ公開されるのでニュースの話題がホットで「そうそうこの話聞きたかった!」となる。うれしい。
・朝井リョウ・加藤千恵 信頼できない語り手
最近あらゆる方向からおすすめされ、数ヶ月前からハマっています。パンチあるワードセンスが多すぎて会話の勉強?になる。笑えます。
・ゼーロンの背中
固有名詞多すぎて殴られたい時に聞きます。無知を知る時間。
・BAD PHARMACY
週1、30分しないくらいなのですぐ聞けて良い。朝起きて眠気眼状態でかけがち。
それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。
#NOW READING 『部落フェミニズム』(熊本理抄=編著、藤岡美恵子、宮前千雅子、福岡ともみ、石地かおる、のぴこ、瀬戸徐映里奈、坂東希、川﨑那恵=著/エトセトラブックス)
すでに登録済みの方は こちら