TOUTEN BOOKSTORE NEWSLETTER #82
#82 INDEX
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HELLO
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新入荷&今週の1冊
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TOUTEN ベスト (2025.4.28-2025.5.11)
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イベント情報
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AFTER TALK
🫠HELLO
外暑かったですね〜。
先週まで開催していた高重乃輔さんの写真展「基地ができる」、無事終了しました。晩年の祖父母の写真を撮るようになって、通うようになった種子島。高重さんは12キロ先の島で基地の建設が進められている様子を記録し続けている。まだまだ記録は続く。
高重さんは、自分の立っている線上に起きたことをどう伝えるか、ずっと考えながら展示も作っていたそう。とくに写真に説明をつけるべきか、という点ですごく迷われていて、その話をふんふんと聞く。どういう形であっても、答えがないものを問いかけることができるといいよな、と思う。高重さんとは夏にもワークショップをしたいねという話に。乞うご期待。
📚新入荷&今週の1冊
・湖まで(大崎清夏 / palmbooks)
歩いていった先に大きな水の塊があることは安心だった。海でも川でも湖でも。いまを生き、いまを描く詩人による詩と散文のさきに見出された光り溢れる初めての書き下ろし連作小説集。ひとと出会い、土地に触れ、わたしはわたしになっていく。みずからの世界の扉をひらく全5篇。サイン本。
・となりのとらんす少女ちゃん(とら少 / 在野社)
"これは、いつかきっとすれ違った、わたしたちのとなりに生きる「とらんすちゃん」の物語。"トランスジェンダー当事者が確かに刻む、現代の「トランスガール」の肖像。"いまだ知られていない独自の活動や研究、表現に光を当て、書籍というかたちで残すこころみを始め"た、新しい出版社・在野社のはじめての書籍。
・お寺に嫁いだ私がフェミニズムに出会って考えたこと(森山りんこ / 地平社)
「お寺のおくさん」は献身して当たり前? お坊さんと結婚して飛び込んだ仏教界は違和感だらけ。モヤモヤの日々に救いをくれたのは仏様よりもフェミニズムだった。日本のお寺の持続可能性を問いかける当事者エッセイ。
・午後のコーヒー、夕暮れの町中華(安澤千尋 / 書肆侃侃房 )
いつだってわたしを助けてくれたのは、街にある小さな店だった。そこへたどり着けさえすれば、またわたしは生きる力を取り戻すのだ。街歩きエッセイスト「かもめと街 チヒロ」が、東京の店の情景を描く。
\📚今週の1冊📚/(「冊」ではありませんが……)
"ひとりで悶々と悩み、こんなに悩んでいるのは自分だけなのではないかと寂しさを感じたとき、本がそばにあることで力がもらえることがある。知ることを恐れない。考えることをやめない。感じたことを蔑ろにしない。そんな思いが回復できるように。"
トートバッグ、よ〜〜〜〜うやく、できました!
Tシャツ作った時はシンプルメッセージをシンプルに届けるのがいいなと思っていたのですが、今回トートを作る時、手描きの文字にしたいと思っていました。2024年にDrumさんのフライヤーで見たMioちゃんの文字がすごくよくて、当店で開催してくれた展示の時にお願いをしたのです。Tシャツは周りに呼びかけるための(本屋行こうぜ!な)声、今回トートは自分にかけたい声、というか呪文みたいな感じのイメージに合わせて手描きにしたかったのかなと今になって考えます。
カラーはロゴのグリーンとピンクから抽出。ナイスなデザインはいつもお世話になっている友人の希奈に、トートのシルクスクリーン印刷は今回も、名古屋にあるデイジーメッセンジャーのイズルさんにお願いしました。信頼している皆さんと作れて、本当にうれしい。
ぜひ、使ってくださいまし!
📚TOUTEN BEST ( 2025.4.28-2025.5.11 )
・生きる力が湧いてくる(野口理恵 / 百万年書房)
"私はおそらく多くの人がもつ家族観をもっていない。おそらくこれからももつことはできない。"『USO』誌編集長にしてrn press社主・野口理恵さんのエッセイ集。特典小冊子付。野口さんの「版元日誌」を読んでいたので、個人的にも読みたいと思っていた新刊。「生きる」という言葉が立体になったような本で、「生きたい」と思わせてくれる本を今まさに書いてくれている、と思う。
・教科書採択2024 ある名古屋市民の忘備録(ジェンダー読書会なごや)
名古屋市民のジェンダー読書会なごやさんが、市の教科書採択に不安を感じ、中学校用教科書採択に関わることになった2024年4月〜8月についての出来事を記録した貴重なZINE。
原則4年に1度ある、教科書採択。どのように教科書が決定されていくのかを知り、またどのように市民が関わっていくのかを考えるためにぜひ多くの市民に読んでほしい1冊。
・私が私らしく死ぬために 自分のお葬式ハンドブック(野口理恵 / rnpress)
こちらも野口さんの本!死ぬときの呼吸のこと、食事のこと。宗教のこと、費用のこと、お墓のこと。うんざりするような「決まりごと」と、これからの私たちのこと。たくさんの事例を紹介しながら綴るルポルタージュ。
・生活は物語である 雑誌「クウネル」を振り返る(木村衣有子 / BOOKNERD)
平成から令和へ。文筆家・木村衣有子がひとつの時代の分水嶺を、雑誌『クウネル』とともに総括する。文化論のようでいて、極私的な手触りの、ファンタジーと現実を行き来するクウネルと雑誌文化への濃厚なオマージュ。近日再入荷予定!
・私の小さな日本文学(チェ・スミン=編 / 夏葉社)ソウルでひとり出版社「夜明けの猫」と、書店「セゴ書林」を営むチェ・スミンさんによる、これまでにない、あたらしい日本近代文学入門です。芥川龍之介、萩原朔太郎、伊藤野枝などの16編の近代文学の掌篇、装画は恩地孝四郎さん、長いあとがきはチェ・スミンさんが日本語で書いています。
👀展示&イベント情報
【展示】【25.5.24-6.7】寺田燿児短編作品集原画展「DRAMATIC」
ひとり出版社・猋社(つむじかぜしゃ)から刊行された寺田燿児作品集『DRAMATIC』の原画展を開催します。『DRAMATIC』内「独裁者の背中」シリーズを中心に展示。寺田さん、初・名古屋!
【25.6.14】「さいきまこさんと性暴力について考える」(主催:むちむち)
学校内の性暴力を描いた作品『言えないことをしたのは誰?』(現代書館)の著者・さいきまこさんのトークイベントを開催。"当日は、訪れる誰もが安心して過ごせる場所、語れる場所でありたいと思っています。これまで関心はあれどなかなか話す場所や相手がいなかった、という方にもご参加いただけたら嬉しいです。"『言えないことをしたのは誰?』は学校の性暴力をテーマに、小さな違和感から丁寧に描き、なぜ起き続けてしまうのか、どうすれば防ぐことができるのかというところまで切り込んだすごい作品でした。子どもと関わる大人たちにはどうかどうか読んでほしい。
☕️AFTER TALK
先日、水俣病・東海の会さん、わっぱの会さん、水俣・写真家の眼さんの共催で開催された「食べることの過去・現在・未来 ~歴史に学び、未来につなぐ~」を聴きに南山大学に行ってきました。先月水俣に行ってきたので、より情景が浮かびながら聴講できてよかった。
歴史家・藤原辰史さんのお話がうますぎて慄いた。大学の授業受けたい〜〜〜。生産者→消費者→分解者のサイクルから理解を確認し、水俣病"事件"を食の問題の視点から語る。『証言 水俣病』や『苦海浄土 第三部』など本の引用も多く、非常に勉強になった。「子宮への攻撃の現代史」というのが印象深かった。(「血潮」という言葉がある通り、血液と海の潮のミネラルの構成比率が似ているという話も興味深かった。)言葉にゾワッとするけれど、食のサイクルに入り込む、ということは子宮にまで影響を及ぼし、次世代へも攻撃をしている、という事実がある。ベトナム戦争で使用された枯葉剤は、食のサイクルを断つ暴力でもあり、イスラエルでもパレスチナへの攻撃として使用している。土地を奪い続けているイスラエルを食の技術の「お手本」と称賛するメディアに対して、怒りを共有する。
水俣出身の民俗学者・谷川健一の「水俣は水俣病より大きい」という言葉を大切に引用していた。これは「経済成長の犠牲者という枠組みに安住させない」ことを考える上でも、重要な引用だと思う。そしてその言葉は外から簡単に使えないな、という意味で"大切に"引用していたという表現にした。谷川健一さんの本を読みたいと思う。
ぎゅっとしたスケジュールになったけれど、行けてよかった。次水俣行く時は飲み食いしたいな〜。「がんぞー」というお店が美味しいみたいです。
それでは、まだまだ大変な世の中ですが、好きな飲み物を飲んで、ご自愛しつつ、今週もそれぞれの読書時間をお過ごしください。
#NOW READING 『TORA TORA TORA TORA』(寺田燿児)
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